(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、最近の経済指標は金利据え置きを裏付けるものだとした上で、インフレ動向が2024年と同様のものになれば、金融当局者は「年内のある時点」で利下げを再開する可能性があるとの考えを示した。
ウォラー理事は18日のシドニーでの講演テキストで、「昨年の場合と同様に、冬季の進展休止が一時的なものならば、一段の緩和策が適切になるだろう」と発言。「しかし、それが明確になるまでは金利据え置きが望ましい」と語った。
1月の米消費者物価指数(CPI)が前月比0.5%上昇と、2023年8月以来の大幅な伸びとなったことに関し、ウォラー理事は「やや失望」したとしつつも、米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数の見通しは心配の度合いが比較的低めだと強調した。
具体的には、1月のPCE価格指数のうち、変動の大きいエネルギーと食品を除くコア指数について、前月比で約0.25%上昇、前年同月比では2.6%上昇とする見通しに言及した。
CPI統計を巡ってはフィラデルフィア連銀のハーカー総裁が17日、季節要因の調整が適切に行われているかどうか疑問を呈しており、ウォラー理事も同様の見解を示した。
「過去数年間にわたり、年初にインフレ率が高めの数字となる一定のパターンが見受けられる」とし、「こうしたパターンから、インフレ統計に『残存季節性』がないか疑問が生じ、それは統計担当者が一部の物価の明らかな季節変動を十分に修正していないことを意味する」と説明した。
ウォラー理事は、CPIの高めの数字が残存季節性によるのか、「違う問題」によるのか判断する前にデータを監視するとコメント。「いずれにせよ、現時点の利下げをデータは支持していない」としながらも、「25年が24年と同じ展開となれば、年内のある時点で利下げが適切になるだろう」と話した。
一方、労働市場は「最適な状態」にあり、米経済は堅調だとする景気判断を示した。
このほか、トランプ政権の政策が一定の不確実性をもたらしている点を認めつつも、それによって経済データへの対応に遅れがあってはならないと論評。「経済情勢について多大な不確実性に直面しても入手するデータに基づいて行動する必要がある」とし、「経済的不確実性の解消まで待てば、政策上のまひにつながる」と語った。
原題:Fed’s Waller Favors Pausing Rate Cuts Until Inflation Bump Fades(抜粋)
(ウォラーFRB理事の発言を追加して更新します)
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