(ブルームバーグ):政府は、中東情勢を背景にしたガソリン価格高騰の緩和措置として、補助金による支援を続けている。財源は基金から捻出しているが無尽蔵ではなく、枯渇を見据えた備えが課題となる。補正予算が編成されるかどうかも焦点だ。
夏にかけて枯渇予想
高市早苗首相が、ガソリン補助に言及したのは3月11日。全国平均小売価格が170円程度を超える部分について、同月19日出荷分から全額補助する方針を明らかにした。足元での補助額は1リットル当たり39.7円で、補助がなければ価格は200円超となる。
補助額は4月23日からの1週間で30.9円だったが、原油価格が再び上昇したことを反映して、4週ぶりの増額となった。
補助金の出どころは、2021年に作られた「燃料油価格激変緩和基金」で、3月下旬に25年度予算の予備費から約8000億円を算入したことで残高は1兆1500億円程度となった。現時点で残高がどの程度まで減ったかについて、経済産業省からの公表はない。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストが基金がいつ枯渇するかを試算したところ、30円程度の補助金が続く「標準シナリオ」で7月11日との結果が出た。補助金が50円まで増えた場合だと、6月14日には底を突く計算となる。
予備費1兆円
現在の基金残高が枯渇すると見込まれる場合、次に想定されるのは26年度当初予算の予備費の活用だ。
今年度の予備費は1兆円だが、全額を使い切れるわけではない。自然災害などの緊急時の対応が必要になる可能性があることに加え、予備費が一定の金額を下回ると衆院の解散・総選挙が打てなくなる事情が出てくる。総選挙には数百億円かかることが多く、前回1月の選挙時には約856億円を予備費から支出した。
解散のフリーハンドを残すという点を踏まえると、活用できる予備費は最大でも8000億-9000億円で、ガソリン補助に使えるのはその範囲内となる。
最後は補正
今年度予備費の活用でもなお財源が足りない場合は、補正予算の検討が選択肢となる。すでに野党からは編成を求める声が出ており、自民党の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の所属議員からも補正を求める声が聞かれる。
中道改革連合は4月28日、事態の長期化を見据えたガソリン補助金の財源確保、電気・ガス料金補助の再開、低所得者や子育て世帯への給付などを含む経済対策を取りまとめるよう、木原稔官房長官に申し入れを行った。
高市首相は同月27日の参院予算委員会で、状況に応じて柔軟に対応する考えを示しつつ、「現時点で補正予算の編成が必要な状況とは考えていない」と述べた。ホルムズ海峡の正常化が見通せず原油価格の高止まりが続けば補正も現実味を帯びてくるが、世論も見極めながらの判断になりそうだ。
第一ライフ資産運用経済研究所の首席エコノミストで経済財政諮問会議の民間議員も務める永浜利広氏は27日の電話取材で、「安易な補正は高市政権の方針にそぐわない。まずは予備費の1兆円の活用を優先すべきだ」と話す。
政府は、いつまで補助金を続けるかについて明らかにしていない。日本財政への市場の厳しい視線を考慮すれば、基金の枯渇が見えてくる前に措置を終えることも取り得る手段の一つとなる。
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