(ブルームバーグ):4日の金融市場は米中間の関税合戦に反応したが、当初の動きはすぐに縮小した。アナリストらは、中国側の措置はかなり抑制されたものだと受け止めた。
人民元はオフショア取引で約0.3%下落した後、下げ幅を縮小。トレーダーが米国の関税発動と中国の報復措置を貿易協議に向けた準備と捉えたため、香港株も当初の下げから反転した。ハンセン中国企業株(H株)指数は、一時1.7%高まで上げを縮めたが、3.5%高で終了した。
アナリストやストラテジストの見方は以下の通り。
◎東亜銀行の上級投資ストラテジスト、ジェイソン・チャン氏
中国は報復措置を発表したが、米中両国の貿易交渉にはそれほど影響しないと思う。
カナダとメキシコの場合も同様で、両国もトランプ米大統領との交渉前に一連の報復措置を発表した。これらの措置は、あくまで貿易交渉における交渉力を高めることを目的としたものだ。
◎シンガポールのアバディーンの投資ディレクター、シンヤオ・ヌン氏
中国は、ほとんどの国がそうであるように、政治的に従順であると見られるわけにはいかないため、必ず何らかの報復措置を取るだろう。私には、報復措置は妥当な範囲内に見える。
米国が発表した10%の関税も、トランプ氏が当初公約していた60%よりもまだ妥当な範囲内だ。
しかし、私は関税の脅威がさらに高まり、中国株への圧力が繰り返される、非常に激しい貿易協議になることを確信している。
◎サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏
一連の出来事は、交渉が決裂したのか、それとも依然として単に様子見の状態にあるのかという疑問を提起している。
良いニュースではないが、市場は過剰反応しているように見える。この状況からは市場のボラティリティーと不確実性が浮き彫りになる。市場はますます神経質になっている。
◎UOBケイ・ヒアン(香港)のエグゼクティブディレクター、スティーブン・レオン氏
午後の売りは過剰反応であり、協議で何らかの進展があれば簡単に反転する可能性がある。貿易協議は複雑で常に変化しており、結果が出るかどうか予測するのは難しいので、時間はかかるだろう。
(最新の発表は)交渉のテーブルにつく前の単なるジェスチャーであり両者が貿易協議の時期に合意すれば安定するだろう。
◎ストーンXファイナンシャルの通貨トレーダー、呉明賾氏
市場は現在やや冷静さを失っているため、実際に関税が課されるのを見ないと、市場のより深い動きは見えないだろう。カナダとメキシコへの関税での動きを考えると、トランプ氏は現在、あまりにも気まぐれ過ぎる。
中国元についての短期的な見通しは弱気なままだ。
◎ING銀行(香港)の大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏
報復の対象となったエネルギー輸入は、米国から中国への輸入の10-15%に当たる200億ドル程度であるため、一見したところかなり控えめな報復措置のように見える。 直接交渉を経て、関税がすぐに撤回されたり、先延ばしにされたりする可能性も残っている。
◎GAMAアセット・マネジメントのグローバルマクロ担当ポートフォリオマネージャー、ラジーブ・デメロ氏
カナダとメキシコからの輸入品に対する関税の延期が発表された後、米国が中国からの輸入品に対する関税の適用も延期する可能性があるとの期待が生まれた。
こうした期待が打ち砕かれたことで、関税戦争が始まった。中国は独自の条件で、特定のセクターを標的にせざるを得ないだろう。
原題:China’s Tariff Retaliation Looks Restrained So Far, Analysts Say(抜粋)
(発言を追加します)
--取材協力:我妻綾、Matthew Burgess.
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