(ブルームバーグ):米IT大手オラクルのデフォルト(債務不履行)リスクを反映するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッド(保険料率)が、2022年11月以来で最も高くなった。人工知能(AI)分野への巨額投資を進める同社に対し、投資家や貸し手がリスクヘッジを急ぐ様子がうかがえる。
ICEデータサービスによると、オラクルの社債の5年物CDSスプレッドは14日、一時4.36ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、106bp前後に達した。スプレッドの上昇は通常、企業の信用力に対する投資家の信頼が低下していることを示す。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のロバート・シフマン氏は、オラクルのレバレッジ(負債比率)拡大で信用格付けが投機的水準(ジャンク級)に引き下げられるとの懸念や、AI関連の巨額資金調達に伴うヘッジ需要が、CDS上昇の背景にあるようだと説明。「短期的に支出が増加する一方、関連収益の実現は数年先になるため、懸念は正当だ」と電子メールでコメントを寄せた。
同社の広報担当者はコメントを控えた。
オラクルは、米OpenAIおよびソフトバンクグループとともに、AIインフラ構築に総額5000億ドル(約77兆2000億円)を投資する「スターゲート構想」を主導している。その一環として、約20行から成る銀行団が約180億ドルの融資を供与し、米ニューメキシコ州にデータセンターキャンパスを建設中だ。完成後はオラクルがテナントとして運営を引き継ぐ予定となっている。
同社はAI需要に対応するため支出を拡大し、9月には投資適格級社債180億ドル相当を発行した。

AIインフラ投資が増加する中で、将来の収入とキャッシュフロー生成を巡る疑念が、株価と債券価格に広く影響しているとシフマン氏らは14日のリポートで分析した。
原題:Oracle Debt Derivatives Jump as Traders Hedge AI Bets (Correct)(抜粋)
(BIの見解を追加して更新します。更新前の記事でCDSスプレッドの動きを訂正済みです)
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