(ブルームバーグ):オーストリアの銀行、ライファイゼン・バンク・インターナショナル(RBI)が、ウクライナで侵攻を続けるロシア軍に物資を供給する企業から利益を得ていることが、ブルームバーグの入手した文書で明らかになった。
銀行明細書やその他文書によれば、RBIのロシア部門は昨年、ロシアの化学企業1社からサービス手数料として6200万ルーブル(約9600万円)余りを受け取った。このロシア企業は、制裁対象となっている企業向けに軍事システムの製造に必要な材料を供給していた。
文書に詳しい欧州の政府当局者は、ロシアのプーチン大統領が戦時経済を敷く中で、RBIが他にもロシア軍事産業に製品を供給する顧客を抱えていることは「ほぼ確実」だと述べた。同行は、ウクライナへの侵攻後直ちにロシアから撤退しなかったため、現在は同国から事実上、抜け出せない状況だ。
ブルームバーグの質問に対し、同行の広報は「当行は全ての取引および事業活動が、適用される制裁法規に厳格に準拠していることを確実に監視するモニタリングおよびスクリーニングシステム、ツール、手続きを実施している」と述べた。
RBIのロシア部門が昨年最初の3四半期で稼いだ利益は税引き後ベースで10億ユーロ(約1585億円)余りと、グループ全体の利益のほぼ50%を占めた。ウクライナ侵攻前2年間の利益と比べると2倍以上だ。
ただ、ロシア部門の利益拡大にもかかわらず、同国の資本規制に伴い、オーストリアの親会社に資産を移転することができず、ロシアには44億ユーロの余剰資本が蓄積されている。
ロシア部門はロシアの中央銀行の規制下にあり、法律上ではロシア企業とみなされる。このため、制裁対象や軍と取引している顧客であっても、関係を断つのは非常に困難だ。ロシアは限られた状況においてのみ口座の閉鎖を認めており、自国企業に課された制裁を認めていない。
RBIによれば、同行は3年にわたってロシアからの撤退方法を模索してきた。米国の規制当局と欧州中央銀行(ECB)からも、撤退を早めるよう圧力を受けている。
ただ、ロシア部門はロシアが自国の銀行システムにとって「システム上重要」と考える約10行の一つで、ロシア撤退に当局は納得しない可能性が高い。撤退にはプーチン氏の署名も必要だ。
RBIはロシア企業が外貨取引を行える数少ない窓口の一つだが、ヨハン・ストロブル最高経営責任者(CEO)は昨年、ECBの指示に従い、大半の国際決済サービスを終了する意向を示した。ロシア向け融資は昨年第3四半期に約25%削減した。
原題:Raiffeisen Bank Clients in Russia Help Putin Supply Military (1)(抜粋)
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