空き家活用事例

【家いちば】

・ 事業概要
家いちば株式会社は、日本最大の空き家売買マッチングサイト「家いちば」を運営しており、2015年に設立された。このサイトでは、物件所有者と購入希望者が直接交渉できる「セルフセル方式」を採用し、不動産会社を介さずに売買を促進している。とりわけ、価格が低い物件の流通を支援し、売買が成立しやすい環境を提供している。累計の掲載数(2024年)は約4,000件、そのうち860件が成約しており、有効成約率は約5割である。物件所有者は物件でどのような生活を送ってきたかその物件での思い出を共有し、購入者がその内容に共感することで物件所有者と相互に信頼関係を築きながら取引が進む仕組みがサイト上に整っている。

・空き家の掘り起こしへの視点
一般的な不動産取引では、売主・買主の双方が不動産会社を仲介会社として売買交渉を行うことがメインとなっており、売主が直接的に複数の買主とのコミュニケーションを通じて買主を選択することは少ない。家いちばでは、買主と売主のコミュニケーションを通じて売主がどの人に売るかを決めることが出来る。また、情報を登録する段階では、売却することを確定していなくてもサイトの利用が可能なため、気軽に物件を登録できる点も特徴である。

【さかさま不動産】

・事業概要
「さかさま不動産」は、名古屋市を拠点に活動している株式会社On-Coが運営する空き家の所有者と活用者のマッチングサイトであり、通常の不動産取引とは逆に、既存の物件情報を公開するのではなく、借りたい人の「やりたいこと」や「想い」を公開するシステムを特徴とする。この仕組みでは、先ずは借りたい人がどのような目的でその物件を使用したいかを詳細に記載し、その条件に合致する物件所有者が物件情報を提供する形を取る。物件の所有者は、借主が地域に対してどのような貢献をしたいかを理解し、それに共感することで物件の提供を決定する。物件のマッチング後は、所有者と借主の関係性が強化され、地域とのつながりが深まることが期待される。このプロジェクトは、地域活性化や若者の呼び込みを目指しており、物件の所有者が新しいアイデアに共感し、地域に貢献したいと考える借主とのつながりを重視している。

・空き家の掘り起こしへの視点
「さかさま不動産」では、物件所有者が待つ側に立ち、借りたい人が自分の「やりたいこと」を公表することで、所有者がそれに応じて物件を提供する仕組みを採用しており、この方法により、物件所有者にとっては従来とは想定できないような空き家の有効活用のアイデアを得て、これに共感することを通じて従来の不動産市場に出回らない物件の掘り起こしが進められ、所有者が物件を活用する動機が強化される。