日本において、空き家の増加は依然として顕著である。活用が進まない要因として、空き家所有者が物件を市場に出さないことが挙げられる。その理由には、「思い入れがあるので売る(貸す)相手を選びたい」「所有物件を活用したい人がいない」など、心理的要因が主な障壁となっている。
その中でも空き家を活用している事業者は、様々な手法で物件を市場に出している。本稿では、各事業者がどのように空き家を発掘しているかについて整理し、空き家を市場に出すための方法について考える。
【空き家活用の調査】
昨年度、公益財団法人東北活性化研究センターと共同で全国の空き家事例の調査(公益財団法人 東北活性化研究センター「空き家等で地域を活性化する方法」 ※以下、「活用事例調査」)を実施した。この調査では12件の事例についてヒアリングおよび現地調査を行った。本稿では、廃校活用を除いた9件を対象に、空き家所有者が市場に出しやすくする特徴についてまとめる。
【空き家活用の事例収集】
活用事例調査では空き家活用の事例を広域的・地域的、活用促進・流通促進の2軸の視点から分類を行い、事例を選定することで多種多様な事例について調査を行った。全国的に行われており、様々な地域に活用しやすいものを「広域的」、地域に根差した活動であり、地域と並走する方法の参考になるものを「地域的」とし、主に空き家の活用に視点を向けているもので、所有者・活用者の参考になると考えられるものを「活用促進」、空き家の流通に視点を向けているもので、仲介者の参考になると考えられるものを「流通促進」としている。なお、「Q1」、「京都里山SDGsラボ『ことす』」、「いいかねPalette」は廃校・旧校舎活用のため本稿では対象としない。
