(ブルームバーグ):法定通貨やコモディティーなどと連動するよう設計されたステーブルコインの発行元、テザー・ホールディングスは、中米エルサルバドルでデジタル資産サービスプロバイダーの免許を取得した後、法人組織および子会社を同国に移転する。
1370億ドル(約21兆6000億円)以上の準備資産を運用するテザーは暗号資産(仮想通貨)業界で最も重要な企業の1社で、英領バージン諸島で登記されている。テザーはエルサルバドル政府と長年にわたる関係を構築しており、ビットコインや暗号資産起業家の拠点となる同国の取り組みを支援している。
パオロ・アルドイノ最高経営責任者(CEO)は13日の発表文で、「今回の決定はテザーにとって自然な流れだ。われわれは新たな拠点を作り、協力関係を促進し、新興市場への注力を強化することが可能になる」と説明した。
テザーはドルにペッグされたステーブルコイン「USDT」の発行元で運営者。2024年の暗号資産価格の大幅高と金利上昇により、テザーの業績は拡大しており、四半期ごとに数十億ドルの利益を計上している。
同社の準備金の一部は、キャンター・フィッツジェラルドが管理している。キャンターのハワード・ラトニックCEOはトランプ次期政権で商務長官に就く予定だ。
テザーはここ数年、米国などで重大な法的問題に直面しており、2021年には準備金の虚偽報告疑惑について米商品先物取引委員会(CFTC)から罰金4100万ドルの支払いを命じられていた。
一方、エルサルバドルは約3年前、自国経済を豊かにする可能性を期待してビットコインを法定通貨として認めた最初の国となった。同国はブケレ大統領の下、大規模な改革の取り組みを進めており、路上から犯罪集団を一掃しビットコイン備蓄を6億ドル余りに増やして立ち直りつつある。また、国際通貨基金(IMF)との4年間の交渉を経て昨年12月に14億ドルの融資を受ける合意をまとめた。
原題:Tether to Set Up Headquarters in El Salvador, Relocate Units (1)(抜粋)
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