(ブルームバーグ):ドイツ総選挙まで2カ月を切った中、トランプ次期米大統領の主要アドバイザーで資産家のイーロン・マスク氏が極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持を独紙上で改めて表明し、同国内で波紋を呼んでいる。
同氏は、「AfDは極右と評されることもあるが、自分たちの懸念がエスタブリッシュメントに無視されていると感じる多くのドイツ人が共感する政治的現実主義を体現している」と指摘。「真実を覆い隠すことの多いポリティカルコレクトネス(政治的正しさ)を排除し、今日的な問題に対処している」と論じた。28日付のウェルト・アム・ゾンターク紙に掲載された。
マスク氏はベルリン近郊グリューンハイデのテスラの工場など、ドイツ国内で広範に事業を展開している。同氏は過去にドイツの官僚主義をたびたび批判してきた。ここ数週間は、そこから一段と踏み込み、自身がオーナーであるX(旧ツイッター)への投稿でショルツ首相をけなしたり、AfDを応援したりしている。
ウェルト編集長に指名されたヤン・フィリップ・ブルガード氏は同紙で、欧州連合(EU)やロシアとの関係、移民を巡るAfDの姿勢に言及し、AfDを過激主義と分類するのは間違いだとするマスク氏の主張は大きな誤りだと反論した。
マスク氏の意見を掲載する決定に抗議し、同紙オピニオン欄の編集者、エバ・マリー・コーゲル氏は退職した。
野党キリスト教民主同盟(CDU)党首のメルツ氏は29日、「西側の民主主義国の歴史で、友好国の選挙運動に干渉した同様の事例は記憶にない」とコメント。「自分のソーシャルメディアだけで情報を得ているのでなければ、AfDの姿勢についての矛盾を容易に認識できるだろう」と述べた。メディアグループのフンケが報じた。
最新のブルームバーグ世論調査平均によると、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が31%で支持率トップ。AfDは20%近くまで上昇した一方、ショルツ氏の社会民主党(SPD)は3位で17%にとどまる。
原題:Musk Doubles Down on Support for German Far-Right Party AfD (1)(抜粋)
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