(ブルームバーグ):30日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=157円台後半で推移。金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定にかけてドル買いが強まる場面も見られたが、日本の通貨当局による円安けん制への警戒感が円を下支えしている。
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、「きょうは四半期末・年末に伴う実需がそれなりにあり、仲値はドル不足」と指摘した。当局の円安けん制については「まだ実弾介入が入る水準ではないが、160円に近づいているので介入も警戒しつつの展開になってくる」と述べた。
加藤勝信財務相は27日に「為替動向を憂慮しており、行き過ぎた動きには適切に対応する」と円安をけん制した。その前日に158円08銭と約5カ月ぶりの円安値を付けており、158円台では通貨当局による口先介入が警戒されている。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、少額投資非課税制度(新NISA)に絡む資金フローを見込んだ海外投資家の円売りに注意が必要だとし、「年始にかけては介入発動リスクも含め、やや荒い値動きとなる可能性がある」と話す。
一方、後藤氏は、当局の円安けん制も若干強まっており、「円安が進む段階では日本銀行の姿勢がタカ派方向に移っていくことは十分あり得る」と指摘する。
来年1月は9日の日銀支店長会議や14日の氷見野良三副総裁の講演と日銀イベントが続く。20日にはトランプ次期米大統領の就任式があり関税政策の発表が注目され、23-24日に日銀金融政策決定会合を迎える。
りそなHDの井口氏は、「為替の動向次第では日銀が1月に利上げに動く可能性はまだある」とし、「円が売られ過ぎている分、日銀次第では円高方向に振れやすい」と予想している。

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