米国の銀行株にとって2024年は、ほぼあらゆる観点から見て素晴らしい年だったが、業界で最も尊敬を集めるアナリストの多くは、これからが本番だと考えている。

ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨー氏は、25年に純金利収入(NII)が過去最高を記録する可能性があると予想。バークレイズのジェイソン・ゴールドバーグ氏は、今後2年間で1株利益の成長率がほぼ2桁のペースとなると述べている。強気な見方は彼らだけではない。

ブルームバーグが集計した株式保有報告書「フォーム13F」のデータによると、7-9月(第3四半期)にヘッジファンドは金融機関の株式に大量に投資し、エクスポージャーが3400億ドル(約54兆円)超と、3カ月前の水準から50%増加した。市場ウオッチャーは、銀行株が今年33%余り値上がりした要因の多くが、今後数カ月間も追い風となり続けると予想している。資本市場活動の活発化や貸し出しの伸びなどが要因だという。

トランプ次期政権下での規制緩和や減税の波が実現すれば、米金融当局が予想より長期にわたり金利を高めに維持したとしても、銀行株にはまだ上昇余地が十分にあるとの見方が多い。

メイヨー氏は「伝統的な銀行の収入から預金、融資、資本市場、営業レバレッジ、1株利益の伸び、規制負担の軽減まで」あらゆる面でウォール街は転換期を迎えていると指摘。「これらの変化が同時に起こっている」と付け加えた。

銀行が規制緩和の恩恵を受けるとの楽観的な見方は、11月の選挙後にすでに株価を押し上げていた。ただ、トランプ次期大統領の予測不可能な性格を巡る懸念で楽観ムードはやや後退している。銀行の経営陣はそうした予測不能さによる政治的・経済的変化への対応を迫られる可能性もある。

JPモルガン・チェースのアナリスト、ビベク・ジュネジャ氏は25年の大手銀行の見通しの中で、「25年は不安定な年となり、前半と後半に分かれる年になる可能性がある」と予想。政策変更に関する不確実性で短期的には波乱が続き得るが、資本要件が好ましい形で決着する可能性は長期的にはプラスだろうと述べた。

株価波乱の可能性はあるものの、投資家はトランプ政権がもたらすかもしれない規制緩和から利益を得ようと銀行株への関心を高めている。

ヘッジファンドは前四半期に金融株への配分を13.4%に引き上げた。また、スタンレー・ドラッケンミラー氏のファミリーオフィス、デュケーヌ・ファミリー・オフィスは、シティグループや地銀キーコープなど、米銀12行近くをポートフォリオに追加した。ジョージ・ソロス氏のファミリーオフィスはファースト・シチズンズ・バンクシェアーズへの投資を増やした。一方、シリコンバレーのマルチファミリーオフィス兼資産運用会社アイコニク・キャピタルは、米銀行株を相次いで購入した。

原題:Bank Bull Run Seen Thundering Onward With Hedge Funds Loaded Up(抜粋)

--取材協力:David Scheer.

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