27日の日本市場では株式が大幅続伸し、日経平均株価が4万円台を回復している。外国為替市場で一時1ドル=158円台まで円安が進んだことを受け、輸出関連を中心に幅広い業種に買いが入っている。

日経平均と東証株価指数(TOPIX)はともに上昇率が1%を超え、TOPIXは5カ月ぶりの日中高値を付けている。円安が海外収益の押し上げ要因となる電機など輸出関連株が買われ、医薬品や化学、商社、サービス業、情報・通信なども高い。

円相場は日本銀行は利上げに慎重との見方から、26日の海外市場で一時1ドル=158円08銭まで下落し、7月以来の安値を更新。東京市場では加藤勝信財務相のけん制発言もあり、157円台半ばまで戻している。債券は午後に入り下落に転じている。

株式

東京株式相場は大幅続伸。全33業種のうち31業種が上昇し、TOPIXはこのままいけば9月以降で最長の5日連続高となる。

トヨタ自動車が3日続伸し、TOPIXの上昇に最も貢献。指数構成銘柄2123のうち、1774銘柄が上昇、287銘柄が下落している。

三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、円安進行を受けて自動車や機械などの輸出関連株が物色されやすいと述べた。

個別銘柄では牧野フライス製作所株がストップ高買い気配。ニデックが株式を公開買い付け(TOB)で取得すると発表した。一方、米国の失業保険継続受給者数が予想以上に増えたことなど受けて原油相場が下げ、鉱業など資源関連の一角が売られている。

SBI証券の鈴木英之投資情報部長は、今年後半は資本政策の見直しや業界再編など象徴的な出来事がいくつもあったとし、こうした動きは来年も続くことが予想されると述べた。

日産自動車の株価が逆行安。ホンダとの経営統合比率を巡る報道を受けて、一時15%安と日中としては1998年10月以来の下げとなっている。

為替

東京外国為替市場の円相場は1ドル=157円台半ばに上昇。加藤財務相の円安けん制を受けて、円買いが優勢となっている。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、前日に7月以来の158円台まで円が下げ、日銀の植田和男総裁の25日の講演を消化したと指摘。「東京時間は通貨当局によるけん制発言への警戒から、利益確定の円買い戻しの動きが出やすい」と述べていた。

週末を控えた持ち高調整の動きも円を下支えしている。金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定にかけてドル買いが強まったが、一時的だった。

債券

債券相場は下落。午前は日銀会合の主な意見を受けて先物や中期債が上昇していたが、午後に入り売り優勢に転じている。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは「年内の国債入札がきのうの2年債で終わり、持ち高を閉じる動きが出ている可能性がある」と指摘。来年度の国債発行計画で、利付債は10年以下が増額されるとの見方があった中、実際に増額された「5年債に調整売りが出て、先物も連れ安になっている」と述べた。

日銀は午後5時に25年1-3月期の国債買い入れオペ予定を公表する。月間ベースの買い入れは10-12月期の4兆9100億円から4000億円減額となる見通し。減額対象はこれまでと同様に1年超3年以下、3年超5年以下、5年超10年以下の見込み。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、「オペ紙は10年以下のゾーンで減額され、超長期ゾーンの減額は引き続き見送りになるだろう」と指摘。「物価連動国債が減額される可能性があるが、相場への影響はない」と予想した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:横山桃花.

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