「第三次産業活動指数」を使って、成長している産業を探してみた。2015年以降の約9年間で高成長した業種区分は何かという問題意識である。やはりデジタル系は強い。ランキングの上位7区分は、デジタル系またはデジタルの派生需要によって高成長したものだ。反対に、製造業などは衰退が進んでいて、危機感を覚える。
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私たちは、「成長産業」という言葉を気軽によく使う。例えば、「ベンチャー投資を成功させるためには、次の成長産業を探し出して投資すればよい」などと言う。しかし、具体的に「成長産業って何?」と聞かれると、途端に言葉に詰まってしまう。そのくらいに成長産業を特定することは難しいのだ。
今、思考実験として、読者の皆さんに「成長産業を5つほど例示してください」と質問したとする。多くの人は、2つ3つはすぐに答えが挙がるとして、その数を5つにすることは容易ではないだろう。まして10近くの成長産業をリストアップすることは著しく困難だと思う。 同じことは、DXについても言える。私たちは、デジタルを使って、事業転換に成功することをDXと称している。では、「DXは何の分野か?それはどこにあるのか?」と問われると、そこでも答えに窮する。全国でDXセミナーが開催されて、多数の講師がDXについて指南しているが、彼らでさえ具体的な成長産業を例示をすることは、それほど容易ではないと思う。具体化、見える化、特定することは、実際は難しい。
そこで、この記事では何が成長産業なのかを経済産業省「第三次産業活動指数」を使って具体的に洗い出してみた。この指数は厳密には、業種別に比較可能な付加価値のようなものではないが、参考にはなる。そうした限界に目を瞑って、この指数が2015年比較で直近(2024年7-9月)までにより大きく伸びたものをリストアップしてみた。分類は筆者が少し恣意的に区分していることも大目にみてほしい。
<過去約9年間での高成長業種>
1 位 クレジット業
2 位 公営ギャンブル
3 位 インターネット広告
4 位 証券業(含む商品先物)
5 位 情報関連機器レンタル
6 位 ソフトウェア(含むゲームソフト)
7 位 医薬品・化粧品等卸売
8 位 ペットクリニック
9 位 自動車レンタル・個人向け
10 位 宅配業
11 位 ホテル
12 位 廃棄物処理
13 位 その他の洗濯・理容・美容・浴場
14 位 貸金業
15 位 医薬品・化粧品小売
この15業種は、約9年間の期間で1.3倍から1.9倍も活動指数が大きく伸びている。第三次産業全体では、僅かに2.5%しか伸びていないから、この15業種の成長は飛躍的と言ってよいだろう。