米疾病対策センター(CDC)の予防接種実施諮問委員会(ACIP)は5日、生後24時間内の全ての新生児にB型肝炎ワクチンを接種するという長年の推奨を撤回する決定を下した。B型肝炎根絶に向けて米国が積み上げてきた成果が揺らぐ恐れがある。

この決定は、ケネディ米厚生長官の下で今年再編されたACIPが下した最も影響の大きい措置となった。

今回の採決結果を受け、母親が陰性の場合、保護者は接種について少なくとも2カ月間の先送りまたは見送りが可能になる。ACIPはまた、免疫を証明する証拠はないものの将来の接種の必要性を判断する手がかりとして血液検査を利用できるとした。こうした変更は、低所得者や無保険者に無料接種を提供する連邦制度「ワクチン・フォー・チルドレン(VFC)」にも適用されると確認した。

トランプ大統領は同日夜、トゥルース・ソーシャルへの投稿で今回の決定を称賛した上で、「世界各国の接種スケジュールに関する包括的評価を『迅速化』し、米国のワクチンスケジュールを最終的に科学と常識の黄金基準に沿うように調整するよう指示する」大統領覚書に署名したと明らかにした。

CDCは35年間、新生児へのB型肝炎ワクチンの一律接種を推奨してきた。その間、子どもや10代の感染例はほぼなくなった。母親が感染している場合、または陰性が確認できない母親から生まれた新生児については、引き続き接種が推奨される。

採決結果は賛成8、反対3で、一部の委員は強く異議を唱えた。ダートマス大学医学部の小児科教授で、タフツ・メディカル・センター小児感染症部門の元責任者であるコディ・マイスナー氏は、今回の決定により感染率が上昇すると指摘した。

アメリカ医師会(AMA)は決定を「無謀」と非難し、「実証され、命を救うワクチンに対する数十年にわたる市民の信頼を損なう」とコメントした。

原題:CDC Panel Ends Call for All Newborns to Get Hepatitis B Vaccine(抜粋)

--取材協力:Madison Muller、Jonathan Roeder.

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