(ブルームバーグ):暗号資産(仮想通貨)ビットコインのオプション取引からは、投資家が当面は狭いレンジ内での値動きを見込んでいる様子がうかがえる。10-12月(第4四半期)の価格急落で時価総額が1兆ドル(約155兆円)減少し、警戒感が強まっている。
時価総額で最大の暗号資産であるビットコインは5日に一時4.4%安の8万8135ドルまで下落。過去3週間の取引レンジ(8万-10万ドル)の中央値を下回った。ビットコインは暗号資産市場の時価総額の約60%を占めている。
コインベース傘下の暗号資産オプション取引所デリビットのデータによると、12月下旬に期限を迎えるオプションの建玉残高は、より長期のオプションを大幅に上回っている。短期的にボラティリティーが低いと見込む投資家が、プレミアムを得る目的でオプションを売却しているためだ。
ウィンターミュートのデスクストラテジスト、ジャスパー・デ・マーレ氏は5日付のリポートで「ビットコイン・オプション市場では目先のレンジ取引への明確な志向が見られる」と指摘。「一方で、より長期のオプション需要は依然として増加しており、当面は安定を見込むものの、将来的な大きな値動きに備える姿勢もみられる」と述べた。
ビットコインは今年に入って12万6000ドルを超える史上最高値を付けたが、その後2カ月に及ぶ急落局面で数十億ドル規模の強制清算が発生し、個人投資家の買い意欲が急速にしぼんだ。これが暗号資産全体の下落を引き起こした。
こうした相場急落でビットコインは過去10年以上で初めて、年間リターンでS&P500種株価指数を下回る見通しとなった。過去の暗号資産の冬でさえ、ビットコインが他のリスク資産からこれほど明確に乖離(かいり)することはほとんどなかった。トランプ大統領のホワイトハウスへの返り咲きを受けて規制緩和や機関投資家の参入が期待され、暗号資産が繁栄するとの見通しに逆行する動きだ。
デジタル資産業界では、こうした長期低迷局面を「暗号資産の冬」と呼ぶ。前回の本格的な冬は2021年終盤から23年にかけて続き、ビットコイン価格はピークから70%余り下落した。

原題:Bitcoin Options Show Traders Hunkering Down for Crypto Winter(抜粋)
--取材協力:Vildana Hajric、Sidhartha Shukla.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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