在庫価格が上昇する一方、在庫戸数は前年比で減少

続いて、在庫の動向を確認すると、2024年11月の在庫価格は首都圏が4,438万円(前年同月比+8.9%)、東京都が5,874万円(前年同月比+17.2%)となった(図表6)。新規登録価格の上昇にあわせて在庫価格も急上昇している。一方、在庫件数は首都圏が45,646戸(前月比▲2.9%)、東京都が23.632戸(前月比▲10.2%)となり減少傾向にある(図表7)。在庫価格が上昇するなか、売主サイドが価格調整に踏み出すかどうか、今後の在庫戸数の動向を含めて注目したい。

首都圏中古マンション市場は、新築マンションの供給減少や相対的な割安感などを背景に、2024年上期まで「成約件数増加・成約価格上昇」の局面が続いていたが、足もとで「成約件数横ばい・成約価格横ばい」の局面へ移行し、いったん踊り場を迎えた可能性がある。また、東京都では新規登録価格と成約価格の逆転や高価格帯マンションの売れ行きがやや鈍化するなど、これまでと異なる動きも確認される。来年以降、住宅ローン金利の上昇が予想されるなか、中古マンション市場の需給バランスや価格動向を注視する必要がありそうだ。

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員 渡邊 布味子)