実際の地面師たちとは 書類屋は「すごすぎて手に負えない」
気になるのは、地面師グループのそれぞれの役割だ。
まず、先ほどのキーワードにもあった「リーダー格」について、記者の佐藤が解説する。
「全体のリーダーとして計画を立て、人を集め、詐欺を実行していく頭役ですが、地面師としてだけ活動している人はほとんどおらず、普段はいわゆる『不動産ブローカー』として活動しています。大規模な地面師詐欺以外にも土地の『地上げ行為』のほか、『手付金詐欺』、『融資詐欺』などに手を染めています」
その資金源はどこにあるのだろうか。佐藤は「暴力団や元暴力団の関係者がリーダー格と密接に関係していて、犯行計画の『種銭』となる準備資金を用意したり、詐欺で手に入れたカネを海外で資金洗浄するルートを提供したりします。ターゲットとなる物件についての情報を持ってくるのも彼らであることが多いです」と話す。
続いては、偽造書類をつくる「書類屋(道具屋)」。佐藤によると、免許証などの本人確認書類の偽造は、特殊詐欺にも利用されることから、詐欺師界隈での需要は高く、必然的に「書類屋」の人数も多い。

「書類屋は地面師グループの専属というわけではなく、地面師は偽造を頼む書類屋をだいたい4〜5人は確保しているといいます。偽造の精度によってピンキリですが、精巧なものは免許証1枚で10万円とも言われています」
長田さんが指摘するのは、書類屋たちの“仕事ぶり”だ。「一言で言うと、すごすぎて手に負えない」という。ただ、司法書士は偽造を見破らなければならない。そのため、免許証などの本人確認書類は、過去の事例などから長年研究を重ね、独自にチェックする複数のポイントがあり、念入りに確認して対抗する。