(ブルームバーグ):米大統領選の投票日当夜、ドナルド・トランプ氏はフロリダ州にある自身の邸宅「マールアラーゴ」で、大口献金者のイーロン・マスク氏をはじめとする支持者らと祝賀会を開いた。通常は民主党支持者が多いシリコンバレーからも、少数ながら忠誠心の強い支持者らが駆けつけた。
祝賀会に参加したパランティア・テクノロジーズの顧問、ジェイコブ・ヘルバーグ氏は、その場のムードは「刺激的だった」と明かす。ブルームバーグとの先週6日の電話インタビューで「人々は未来に希望を抱いている。米国に再び朝が来たような感覚だ。今、われわれの前にはやるべき重要な仕事が山積している」と述べた。
米大統領選でのトランプ氏の勝利に序盤から賭けていたベンチャーキャピタリストやテクノロジストは祝杯を挙げ、トランプ次期政権がさまざまな点で利益をもたらすと期待している。
新政権は、より明確で好ましい暗号資産(仮想通貨)規制を導入し、キャピタルゲイン税の税率引き上げを回避し、反トラスト法(独占禁止法)に対するアプローチをより緩やかにする可能性がある。特に独禁法の運用緩和はベンチャーキャピタル(VC)にとって最も重要で、より多くのスタートアップ買収や投資家への配当につながり得る。
トランプ次期政権の陣容に関しても考えを巡らせている。投資家のジョー・ロンズデール氏は8日のテレビインタビューで、自身は参加しないが、「多くの友人がフルタイムで参加する」と述べた。
また、トランプ氏が初めて正式に立候補を表明する前からトランプ氏を支持してきたアンドゥリル・インダストリーズの創業者パルマー・ラッキー氏は7日のブルームバーグテレビで、次期国防長官を含む要職の人選を担当する移行チームと「連絡を取り合っている」と明かした。
ラッキー氏は、マスク氏やその他の人物が有力候補かどうかについてコメントを控えたが、「気に入らない名前は1つもない」と述べた。
M&AやIPOに追い風
一部のVCはトランプ氏への支持を明確にしていないものの、トランプ氏はスタートアップにとって有益との声は多い。
週1回配信のポッドキャスト番組「オールイン」の共同司会者でベンチャー投資家のジェイソン・カラカニス氏は先月、「企業の合併・買収(M&A)や新規株式公開(IPO)の件数がとんでもないことになるだろう」と述べた。
今回の選挙結果を特に喜んでいるのは暗号資産業界の投資家だ。ムーンウォーカー・キャピタルのゼネラルパートナー、タチアナ・コフマン氏は、トランプ氏が負けていたら「大きな調整を覚悟していた」が、今は「多くの新しい資金」がファンドやスタートアップに流れ込むと予測している。
原題:Silicon Valley Trump Supporters Have Big Plans for His Next Term(抜粋)
--取材協力:Katie Roof.
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