米パイプライン運営会社の今後の業績を押し上げると期待されるのは、人工知能(AI)とデータセンターから生じる「膨大」なガス需要だ。

公益事業者は、AI向けデータセンターやコンピューター用半導体工場に加え電気自動車(EV)の普及により電力需要がここ約30年で最も大幅に増加すると予測している。

電力供給の一部は風力や太陽光発電で賄うことになるが、多くはガス火力発電で対応することになる。このためデータセンター運営会社は、必要な時に迅速かつ確実にガスが入手できるようにしたい考えだ。

パイプライン運営などを手掛ける米エネルギー会社、エナジー・トランスファーのトーマス・ロング共同最高経営責任者(CEO)は6日のアナリストとの電話会議で、「デマンド・プル(需要主導)という観点から、これほど活発な動きは見たことがない。そしてこれがもたらす好機は当社の天然ガス事業全体に広がっている」と述べた。

ロング氏によると、同社は新たに約45カ所の発電所とのパイプライン接続を求められており、10州の計40カ所余りに建設される予定のデータセンターからも要請を受けている。多くの開発業者は建設に最適な場所を探しており、パイプラインまでの距離や接続にかかる費用に関する情報を求めているという。

同業ウィリアムズも電力供給確保を望む州などと話し合いを数多く行っていると、同社のアラン・アームストロングCEOが7日のアナリストとの電話会議で明らかにした。協議内容は年初時点と比べて具体的になっているという。

先週、パイプライン運営会社米キンダー・モルガンのリチャード・キンダー会長は7-9月期(第3四半期)決算の電話会議で、AIとデータセンターからの需要は「膨大」になるだろうと語った。また、液化天然ガス(LNG)輸出とメキシコへのガス出荷が力強い伸びを示すとの見通しも示した。

同会長は「数十年に及ぶキャリアで、天然ガスインフラ増強にとってこれほど好機となるマクロ環境は見たことがない」と語った。

原題:‘Tremendous’ AI Gas Demand Will Boost Pipelines, Executives Say(抜粋)

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