(ブルームバーグ):トヨタ自動車が5日発表した第2四半期(7-9月期)営業利益は前年同期比20%減となる1兆1557億円と市場予想(1兆2452億円)を下回った。通期の営業利益計画は4兆3000億円で据え置いたが、新たに生じた子会社関連の費用増を除けば上方修正の内容との声もあり、株価は上昇した。
トヨタの発表資料によると、第2四半期は前年同期比で為替が2400億円の営業増益要因となった一方、販売台数や車種構成のほか経費の増加、北米での認証問題に関連して巨額の特別損失を計上した子会社の日野自動車の影響が重しとなって利益が圧迫された。
地域別では最近の稼ぎ頭となっていた国内市場の営業利益が6411億円と前年同期比で27%の減益となった。市場規模が大きい北米でも287億円と前年同期実績を大幅に下回った。
宮崎洋一副社長は同日の決算会見で、米国で競争が激化しているもののインセンティブ(販売奨励金)は抑制していく方針だと話した。ガソリン車と比べハイブリッド車(HV)の在庫は半分程度となっているほか、「プラスアルファぐらいでの利益が出せているので、その部分での競争力はしっかりと確保できている」と述べた。
山本正裕経理本部長も従業員や仕入れ先らが地道な努力を積み重ねたおかげで前年に続き2兆円を超える上半期営業利益を計上することができたとし、「決して厳しい決算だとは思っていない」と強調した。
前日比下落で推移していたトヨタ株は決算発表を受けて下落幅を急速に縮小し、プラスに転換。前日比1.7%高の2684.5円で取引を終えた。

通期のグループ世界販売台数は1085万台と従来計画から10万台引き下げた。通期の想定為替レートは1ドル=147円、1ユーロ=161円とそれぞれ従来計画比で2円と1円分円安方向に修正した。
通期業績については営業利益のほか売上高や純利益など主要な項目について従来予想を据え置いた。未定としていた中間配当は40円と前年から10円増額。年間配当も90円と前年比20%増の計画を示した。
為替相場では円が対ドルで9月に一時1ドル=139円台まで上昇したが、足元では150円超まで円安に振れており、トヨタなど輸出型の製造業には追い風となっている。グループ企業も含めて相次いだ認証不正問題を受けてトヨタは今期は「足場固め」に注力するとしているが、同社のHVに対する需要は旺盛で、今後上振れする可能性もある。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリスト、第2四半期の減益は想定されていたとして「ネガティブな印象はない」と指摘。通期の営業利益計画については新たに生じた日野自の北米での認証関連のコストを反映しているとして、「実質は引き上げ」との見方を示した。
その上で、通期見通しを据え置いたことについては、為替レートなどでトヨタ特有の保守的な見方を含んだものではないかとし、今後の業績動向に異変が生じなければ、着地は「引き続き上振れ余地を残しながら進んでいくと思う」と述べた。
(決算会見でのトヨタ幹部のコメントなどを追加して更新します)
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