(ブルームバーグ):5日の日本市場では株式が反発。日本の連休期間中の米国株市場が底堅く、円相場も落ち着いて推移したことが安心感につながり、買いが優勢となった。債券は中長期債が堅調な半面、新発40年物国債利回りは一時約16年ぶりの高水準を更新した。円は一時152円台半ばに下落。
株式は、前週末に大きく下げた輸出関連株や素材株などに見直し買いが先行。一方、米大統領選挙の結果待ちの姿勢に加え、きょうから東京証券取引所は取引時間を午後3時30分まで30分延長したため、相場変動への不透明感から東証プライム市場の売買代金は前週末に比べ1割弱減った。米大統領選に向けた各種世論調査は、ハリス副大統領とトランプ前大統領が接戦となっている。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは大統領選について、トランプ氏の勝利は相応に織り込まれており、共和党が下院選でも勝利し、「レッド・スウィープ」が実現するかどうかが米金利上昇、ドル高の勢いや持続性に大きく影響するとの見方を示した。
株式
東京株式相場は反発。日本の連休期間中の米国株市場が底堅いことなどを好感した買いが入り、日経平均の上げ幅は一時500円を超えた。前週末に大きく下げた電機や輸送用機器など輸出関連株、非鉄金属や化学など素材株のほか、証券、商社株などを中心に高い。
TOPIXを構成する2128銘柄中、上昇は1224、下落は821。売買代金上位ではディスコやTDK、村田製作所が高く、好決算が評価された住友電気工業や野村ホールディングス、サンリオは大幅高。半面、三菱重工業や任天堂、リクルートホールディングスは安い。
T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは、きょうの上昇は前週末に下落した自律反発が主因だと指摘。その上で、米大統領選の結果が出る前に株価はそれほど上昇するとは思っていないと述べた。
東京証券取引所の取引時間延長を巡っては、引けにかけて変動を引き起こす可能性があるとの警戒感も市場で出ていた。酒井氏は「制度変更の初日なので、少し様子見になる。何もトラブルがなければあすから問題ないだろう」と語った。
債券
債券相場は中長期債が堅調。米大統領選前の持ち高調整で米長期金利の上昇が一服したことを受け、買いが優勢となった。一方、政府の財政支出拡大への懸念から超長期債は下落。新発40年物国債の利回りは一時2.565%と2008年8月以来の高水準を更新した。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストは、米長期金利の前週末の上昇が大きくなったが、前日は大幅に戻し、祝日開けの債券市場は落ち着いていると指摘。一方、 国民民主党の玉木雄一郎代表による高圧経済の余地があるとの発言を受け、金融緩和の維持と財政拡張の組み合わせで利回り曲線にスティープ(傾斜)化圧力が強まりやすい流れが続いているとも述べた。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、米大統領選の結果はふたを開けてみないと分からないが、トランプ氏が勝利してトリプルレッドとなれば、初期反応は金利上昇、ハリス氏勝利ならその逆で金利低下だとし、「大差がつかないと東京時間では反応が難しい可能性がある」とみている。
新発国債利回り(午後3時時点)
外国為替
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=152円台半ばに下落。米大統領選を前に共和党のトランプ氏の勝利を見込んだ米金利高・ドル高の調整は一巡。金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定に絡んだドル需要が円を押し下げる動きが見られた。
三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、トランプ氏が勝利するとドル高が進展するとの期待もあり、「下がったらドルを買いたいというニーズはありそうだ」と話した。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、円相場の下落は仲値に向けた需給が主導したと分析。民主党のハリス副大統領の巻き返しによるトランプトレードの巻き戻しは「前日の海外時間で一巡し、152円台は結果を受け上下に動くことができるいい水準」で、トランプ氏勝利ならドル高・円安、ハリス氏勝利ならドル安・円高になると予想した。
--取材協力:長谷川敏郎.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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