グーグルの親会社、米アルファベットが29日に発表した7-9月(第3四半期)決算では、クラウドコンピューティング事業の成長に支えられ、売上高がアナリスト予想を上回った。決算発表後に株価は上昇した。

売上高はパートナーへの支払いを除いたベースで746億ドル(約11兆4400億円)に増加。ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均は729億ドルだった。純利益は1株当たり2.12ドルで、市場予想の1.84ドルを上回った。

グーグルは主力の検索事業が成熟する中、コンピューティングパワーやソフトウエア、サービスを他社に提供するクラウド部門の成長に期待している。同業大手アマゾン・ドット・コムやマイクロソフトに対抗するため、グーグルは人工知能(AI)の専門知識を活用してクラウド顧客を増やしており、元グーグル社員などが創業した急成長中のAIスタートアップ企業も顧客として獲得している。

スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は発表資料で「クラウドでは、当社のAIソリューションが既存顧客による製品採用を促進し、新規顧客やより大型の契約の獲得に役立っている」と述べた。

決算発表を受け、同社の株価は時間外取引で一時5%余り上昇した。

クラウド部門の売上高は114億ドルに増加した。アナリスト予想は108億ドルだった。

 

同社はAIやインフラ、研究などへの多額の投資を巡る投資家の懸念に対処も進めている。ピチャイCEOは決算発表後の電話会見で、グーグルが検索クエリーでAIの回答にかかるコストを「ハードウエアとエンジニアリング、技術的進歩を通じ」18カ月で90%余り削減したと説明。回答を出す生成AIモデル「Gemini(ジェミニ)」の規模を2倍に拡大したことも明らかにした。

ピチャイ氏はまた、AIの技術進歩による将来的な負荷に対応するためグーグルが原子力を含む新しいエネルギー源に大きく投資していると述べた。

自動運転車事業ウェイモや生命科学事業ベリリーなど、さまざまなビジネスを集めたアザー・ベッツ部門の売上高は3億8800万ドルと、前年同期の2億9700万ドルから増加した。同社が10年以上前から投資しているウェイモは、サンフランシスコやフェニックスなどの都市でサービスを急速に拡大している。

ただ、アザー・ベッツ部門は依然として赤字で、7-9月期は11億ドルの損失を計上した。同社は赤字縮小に取り組んでいる。

AI業界で存在感を高めるグーグルだが、米政府は検索とデジタル広告分野での同社の大きな成功を反トラスト法(独占禁止法)違反の観点から評価している。8月には、米連邦地裁がグーグルの検索事業について、違法な独占に当たるとの判断を下した。

ピチャイCEOは電話会見で米政府による反トラスト法訴訟について、米国のテクノロジー業界リーダーにとって「予期せぬ結果」をもたらす可能性があると警告した。

原題:Alphabet Beats Sales Estimates on Google Cloud Growth (2)(抜粋)

(CEOコメントや部門別業績などを追加し、株価を更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.