(ブルームバーグ):米アマゾン・ドット・コムの従業員が抱く企業文化を巡る不満は、匿名の内輪のフォーラムに投稿されているのを頻繁に目にするが、先週リンクトインへの1件の人気投稿で公になり、現従業員たちの共感を呼んでいる。
投稿したのは元アマゾン社員のステファニー・ラモスさんで、同社の官僚主義を批判した。アマゾンに再雇用されてから3カ月もたたずに退職した理由について「私が覚えているようなエキサイティングでスピーディーな環境ではなく、無意味な会議と平凡な中間管理職で動きが取れない職場を経験した」と説明した。
ラモスさんは月曜(14日)午後に、自身の考えを投稿。週末までに10万人余りが閲覧したとインタビューで語った。投稿にコメントを寄せた200人強のうち、約20人は現在、アマゾンの世界中のさまざまな部署で雇用されているが、その多くは同社に対し批判的だった。
その中には、3年前に共同創設者ジェフ・ベゾス氏から最高経営責任者(CEO)職を引き継いだアンディ・ジャシー氏の下での方向性を厳しく批判する人もいた。
「ベゾス氏を好きか嫌いかは別として、ベゾス氏には勇気とビジョンがあった。事前に録音されたものではなく、厳しい質問を投げかける本物の全員参加型会議を開いていた」と、リンクトインのプロフィルでバージニア州のアマゾン・ウェブ・サービス・ソフトウエア開発者と紹介されているトッド・レオンハートさんはコメントした。
また、リンクトインのプロフィルでアマゾン勤続約20年と記載されているローラ・バリーさんは、銀行を思い出させるような会社だと指摘。従業員に週5日出社を義務付けるという新しい方針に言及し、「週5日出勤制度が始まったら、ドレスコードが導入されるのを待つことになる。タトゥーは隠してね!」とコメントした。
従業員の不満はどの企業でもよくあることだが、先週のリンクトインへの投稿は公開フォーラムということもあり、異例の事態となった。
アマゾンの広報担当マーガレット・カラハン氏は、従業員からの今回の具体的な批判には言及を控え、同社がリンクトインの「働きたい会社トップ50」で今年2位にランクインしたと指摘した。同ランキングは昇進などに関するリンクトインのデータに基づいて作成されたもので、首位はJPモルガン・チェースだった。
ジャシーCEO就任後はレイオフとコスト削減の方針が明確になり、ウォール街の投資家は歓迎したが、一部社員は不満を抱いた。ジャシー氏は9月に週5日出社制度を来年1月に開始すると発表した社員宛て文書で、自ら率直に企業文化を批判した。
同氏は、会社の足を引っ張る管理職層を削減してオフィス復帰を促す計画はアマゾンを特徴づける企業文化を再び活性化させるのに役立つと指摘した。この発表は反発を招いたが、その多くは従業員が仮名で不満を訴えることができる「ブラインド」のような匿名フォーラム内にとどまっていた。
ラモスさんは当初、自分の考えを投稿することに不安を感じたものの、反応が増えていくのを見て「私は独りじゃない」と思い、かつての同僚たちとの連帯感を抱いたと語った。
原題:Amazon Employees Complain on LinkedIn About Their Work Culture(抜粋)
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