ホワイトハウスはスイスの製薬大手ノバルティスおよびロシュ・ホールディングとの薬価を巡る合意を19日にも発表する見通しだ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。関税を巡り緊張していた米スイス間の通商関係が緩和に向かうことになる。

関係者によれば、今回の発表には他の製薬会社が加わる可能性もあるが、詳細はまだ流動的だという。米政府はここ数カ月に米ファイザーや英アストラゼネカなどとも同様の合意を結んでおり、企業側は特定のケースで薬価引き下げに応じる代わりに、関税の一部免除を受けている。

スイスは先月、米国との間で時計など多くの製品にかかる関税率を39%から15%に引き下げる暫定合意を米国と結んだ。スイスはトランプ政権が先進国に課した中で最も高い関税の対象となっていた。金や半導体と同様、医薬品は関税の対象外だったが、トランプ大統領は将来的に課税する可能性を示唆していた。

トランプ氏は夏ごろ、製薬企業17社に書簡を送り、米政府の保険制度向け薬価の引き下げ、トランプ政権主導の直接販売プラットフォームへの参加、そして海外価格水準との整合を求めた。代わりに企業側には、関税措置の数年単位の猶予や一部規制緩和が提示されたとされる。

書簡を受け取った企業の大半は、まだ合意を発表していない。送り先にはアッヴィ、ベーリンガーインゲルハイム、ブリストル・マイヤーズスクイブ、ギリアド・サイエンシズ、アムジェン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、GSK、メルク、リジェネロン、サノフィなどが含まれていた。

ノバルティスとロシュ傘下のジェネンテック、ホワイトハウスはいずれも合意の具体的内容についてコメントを控えている。

ノバルティスは米政府と協議中であることを認め、「米国民の医療費を下げ、他の先進国との価格格差に対処するための建設的な解決策を見いだすことに尽力している」と説明。ジェネンテックの広報担当者は、米政権と協力し米国の薬価を引き下げる目標を支持するとともに、他の国が「バイオ医薬品のイノベーションを正当に評価することを求める」とコメントした。

原題:Novartis, Roche Near US Drug Price Deal as Swiss Tensions Ease(抜粋)

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