(ブルームバーグ):間もなく期限切れとなる米医療保険制度改革法(オバマケア)の補助金(保険料に対する税額控除)増額を巡り、下院共和党の複数の中道派議員がジョンソン下院議長(共和)に造反し、民主党と手を組んで来年1月の表決に持ち込む動きに出た。
来年11月の議会中間選挙で接戦が見込まれる選挙区の共和党議員が、補助金増額の1年ないし2年の延長を費用削減策と結びつける法案について、今週中に下院での表決を行おうとしたのに対し、ジョンソン議長がそれを阻止したことが造反の発端だ。

この動きに加わった同党のローラー下院議員は「私たちはほぼあらゆる選択肢を尽くした」とし、「過去何週間にもわたり、われわれは誠意を持って妥協案の法案に取り組んできた」と語った。この問題を巡っては数カ月にわたって議論が重ねられてきた。
新型コロナウイルス禍対策として導入された補助金増額は今月末に失効し、2000万人余りの米国民の保険料が値上がりする見通し。今回の造反の動きはこの値上がりを食い止めるには遅過ぎるものの、少なくとも来年1月15日の加入受付期限前の下院での表決実施に持ち込んだことになる。
共和党のフィッツパトリック下院議員は、政策改革と切り離した形で3年間の延長の表決に持ち込む内容の動議に署名。中間選挙で最も再選が危ぶまれている議員の1人であるローラー氏を含め、他の同党議員もこれに追随した。
下院過半数の計218人の議員が署名して動議を提出したのを受け、下院指導部は7日間の待機期間を経た後、補助金増額延長法案を本会議に上程することが義務づけられる。下院は19日にクリスマス休会に入る予定だ。
この補助金増額の将来を巡る政治的不確実性は、オバマケアに基づく保険加入者に深刻な影響を及ぼしている。無党派の医療調査機関KFFによれば、税額控除の拡大が失効すれば、多くの加入者が支払う保険料は平均で2倍強に跳ね上がるという。民主党はこの問題を選挙キャンペーンの中心に据えている。
通常の場合、1月15日までに加入を確定しなければ、来年のオバマケア保険への加入機会を失うことになる。また上院が来月、下院に追随して迅速に対応するかどうかは不透明だ。上院は今月、補助金増額の3年延長の法案表決に向けた動議を否決している。
しかし、下院が来年初めに延長法案を可決すれば、上院で修正を加えた上で、より多くの共和党支持を得られるような形に調整される可能性も出てくる。超党派の上院議員グループが今週、協議を開始し、税額控除の受給に対する所得制限や不正防止策など、妥協案の具体的内容を模索している。
共和党中道派による今回の造反は、ジョンソン議長が下院運営の掌握力を失いつつある新たな兆候とも言える。議長は現在220議席のわずかな多数派を維持しているに過ぎず、来年の中間選挙では、トランプ大統領の支持率低下の影響も相まって、議会の主導権維持が危ぶまれている。
ジョンソン議長は17日、「私は下院の統制を失ってはいない」と記者団に語り、補助金増額問題で、党内が深刻な分裂に陥る可能性に否定的な考えを示した。
原題:Moderate Republican Revolt to Force January Obamacare Vote (2)(抜粋)
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