円の対ユーロ相場が1ユーロ=180円の水準に近づけば、政府・日本銀行が外国為替市場に介入し、ユーロ売り・円買いに動く可能性があるとシティグループのアナリストらが警告した。

  シティグループ証券の高島修通貨ストラテジストらは、対ドルで1ドル=165円前後まで円安が進行し、対ユーロでも180円の水準になる恐れが出てくれば、政府・日銀がユーロ売り・円買い介入を実施しても「われわれは驚かないだろう」と見解を示した。

  22日のシティのリポートによれば、政府・日銀が2022年9月に約24年ぶりの円買い・ドル売り介入に踏み切って以降、ドル・円相場は10円前後値上がりしたが、ユーロ・円の上昇幅は30円前後に達する。

  「この通貨ペアの大幅な上昇を考えると、サプライズを起こす狙いであれば、ユーロ・円に介入する可能性は十分ある」とアナリストらは指摘した。

  

  日本の外貨準備の20-30%がユーロで保有されているとシティは推定する。政府・日銀が過去2年にわたり自国通貨防衛を目的とするドル売りを続けてきたことを考えると、外貨準備配分のゆがみを避ける意味でもユーロを引き出すことは理にかなうとシティは分析した。

  ユーロ・円相場は今月11日に175円43銭と1999年に欧州単一通貨としてユーロが導入されて以来の円安水準を記録した。その後は若干円高方向に戻し、アジア時間23日朝は171円前後で取引された。

  政府・日銀は11日に今年3回目と考えられる3兆5000億円規模のドル売り・円買い介入を行ったと推定され、翌日には市場参加者に円の対ユーロ相場について水準を尋ねる「レートチェック」を実施した。

日銀レートチェックで介入説強まる-米CPI発表後に円急騰

  ユーロ安阻止のために2000年9月に参加した日米欧の協調介入を除けば、政府・日銀はユーロの為替介入をめったに行わない。シティによると、ユーロ・円の取引量や流動性がドル・円に比べ限られることもあって、介入規模ははるかに小さくなる可能性が高い。

  日銀の政策決定会合を来週に控え、円の対ドル相場が160-162円を再びうかがう展開になれば、ドル売り・円買い介入に再び動くこともあり得るアナリストらは予想した。

原題:Citi Warns of Euro-Yen Intervention Risk If Pair ‘Threatens’ 180(抜粋)

--取材協力:間一生、Brett Miller.

(ドル・円の介入見通しなどを追加して更新します)

More stories like this are available on bloomberg.com

©2024 Bloomberg L.P.