トランプ米政権が連邦準備制度理事会(FRB)に大陪審への召喚状を送付する決定を下す上で、主導的な役割を果たした人物の1人は連邦住宅金融局(FHFA)のパルト局長だったと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

5月に任期満了となるパウエルFRB議長の後任候補の指名に向け、トランプ大統領が準備を進める状況にあって、連邦準備制度に対する政権の圧力が一段と強まっている。

政権内部の非公開協議について匿名を条件に語った関係者によると、トランプ氏の側近の一部はこの動きに警戒感を示している。パウエル議長を標的とした法廷闘争が債券市場を動揺させかねないと懸念しているためだ。

また、5月に議長任期が終了した後も、パウエル氏が理事として留任し、FRBを離れることを思いとどまらせる可能性があるとの見方も出ている。パウエル氏は2028年までFRB理事として在任できる立場にあり、議長任期終了に伴い慣例通り理事も退任するかどうかについては、まだ意向を示していない。

FHFAトップは通常、比較的目立たないポストだが、パルト氏は政権内で声高な存在となっており、物議を醸す住宅政策の構想を推し進める一方、住宅ローン詐欺の疑いを理由にトランプ氏の政敵に対する調査も行ってきた。

パルト氏はクックFRB理事に関しても、住宅ローン詐欺の疑惑を理由に司法省に捜査するよう要請。トランプ氏はこれに基づいてクック氏解任を目指しており、連邦最高裁は今月21日、クック氏が解任を不服として提起した訴訟の口頭弁論を予定している。

政権高官の1人は、今回の召喚状はパルト氏ではなく司法省が主導していると述べた。事情に詳しい複数の関係者の話では、この捜査は首都ワシントンの連邦検察当局が担当している。ピロ連邦検事正がパウエル議長に関する捜査を承認したという。

FHFAとパルト氏にコメントを要請したが、これまでのところ返答は得られていない。

事情に詳しい関係者の一部は、トランプ政権の高官の中には、9日夜にパウエル議長に召喚状が送付されるまで、その存在を知らなかった者もいたと明らかにした。

パルト氏は9日夜、大統領とともにフロリダ州パームビーチへ移動した。同氏はトランプ氏の会員制クラブ「マールアラーゴ」の会員であり、大統領が週末に滞在する際には、同クラブや近隣のゴルフコースに頻繁に足を運んでいる。

トランプ氏の側近や盟友は、パウエル議長を標的とすることの影響や、意図せざる結果について検討している。連邦準備制度の独立性への脅威と債券市場が受け止める可能性が高い今回の動きに対し、週明け12日のウォール街がどのように反応するかが焦点の一つだ。

また、次期FRB議長候補の指名に向けたトランプ氏の取り組みに、どのような不確実性をもたらすのかという点も問われている。

今回の召喚状を巡っては民主党議員に加え、上院銀行委員会メンバーのティリス議員(共和)からも批判の声が上がっている。共和党上院議員の造反があれば、トランプ氏が指名する次期FRB議長の就任に必要な承認のプロセスが遅れたり、承認が阻まれたりする恐れもある。

原題:Bill Pulte Seen as Key Instigator Behind Powell Subpoena(抜粋)

--取材協力:Josh Wingrove、Annmarie Hordern.

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