タクシー業界の厳しい経営状況を受けて、富山でも値上げの動きが出てきています。値上げとなれば消費増税を除くと7年ぶりで利用者の家計への負担は避けられそうにありません。

東京都や石川県などではすでに値上げが決まるなど全国で広がるタクシー運賃改定の動き。富山県内でも12月末までに、タクシー事業者45社のうち16社が運賃改定を求め、北陸信越運輸局へ申請しました。

県内最大手のタクシー会社、富山交通は県内の先陣をきって去年12月に値上げの申請をおこないました。

富山交通・土田英喜社長:「生活の足としてタクシーを頼りにされている方が現実的にいらっしゃいますし、そういった方からより高い運賃をいただくことに抵抗感はあります。ただ、今後もこの業界を続けていくためには値上げがどうしても必要」

背景にはコロナ禍でキャッシュレス決済が普及し、設備投資が増えたことに加え燃料費の高騰などが追い討ちをかけています。さらに深刻なのがドライバー不足です。

富山交通・土田英喜社長:「乗務員の数もコロナ前から2割ほど減っている。乗務員が減っていけばタクシー業すらなくなってしまう環境に。乗務員の処遇を改善して魅力ある産業にして新しい乗務員に入っていただく環境を整備したい」

タクシーの利用者はコロナ禍で減少していますが、それでも対応できないほど、ドライバー不足が喫緊の課題です。こうした状況を受けて浮上したタクシー運賃の値上げ。

決定すれば消費増税にともなう改定を除くと7年振りです。現在、申請率はタクシー事業者の合計車両数の6割の452車両で、7割を超えると審査が始まります。一方でドライバーは苦しい胸の内を明かします。

タクシードライバー:「運賃は上げないほうがいい。利用する人が少なくなっちゃう。会社とかつぶさないようにしてやっていくには仕方ないと思うけど」

タクシードライバー:「今でさえ乗る人が少ない。どうしてかというと運賃が高いからね。それでまた上げるってことはさらにお客さん離れが進みそうで怖い」

タクシードライバー:「新しい料金にしたら富山は全国で3本指に入る料金になる」

例えば富山駅から富山市民病院までのおよそ3.8キロの場合、これまで1820円となっていましたが、2100円とおよそ15パーセント増加します。

利用客:「上がっても10円か5円にしてほしい」「タクシーさんも大変だろうと思うけどやはりあんまり使わないかな・・・」「安いほうがいいかもしれませんけど・・・適当な価格であれば利用させていただきたい」

富山交通・土田英喜社長:「今、乗務員の平均年 齢が60歳ちょっとくらい。もう何年かすると本当にタクシーがいなくなってしまう。そういう状況は避けたい。そのためにも入っていただいた方に意欲をもって真心こもったサービスをして、そのことが感謝の気持ちで返ってくるようにしていきたい」

申請の締め切りは3月13日まで。運賃改定が承認されると、最短でことし8月にも値上げが行われます。