妻:「普通の玄関のカギにドアチェーンが付いてた」
記者:「これを壊したんですか?」
妻:「そうそう」
記者:「どうやって?」
妻:「知らない。また出ていったのかと思ったんですが…」

また夫が自宅を出て行かないよう、妻は玄関にドアチェーンを付けていました。しかし引きちぎられてしまったといいます。

妻:「(ドアチェーンは)自分で開けられないと思ってたんですけど…。だからこの人は無理やと思った」

これは認知症になる前の写真です。2人の姪に挟まれ夫婦が笑顔で写っていました。男性は建設会社に勤めていて、几帳面な性格だったといいます。

妻:「優秀な人やった」

部屋には男性の仕事の功績をたたえる表彰状がずらりと並んでいました。

妻:「お父さんが骨董品の免許持っているから。多趣味な人だったから。だからまさかと思ったよ。この人が認知症になるなんて」

所狭しと、たくさんの陶磁器や美術品もありました。男性は、骨董品を集めるのが趣味だったといいます。

しかし…。

記者:「認知症になってからは?」
妻:「全く。興味ないといえばいいか…。こんなにやっていたのに」

妻が異変に気づいたのは5年前でした。

妻:「前はこんな感じでした」
几帳面だったという男性…いつもトイレのスリッパをきれいに並べていたといいます。

それがある日…。

妻:「今はこんな感じです。ある時、突然こういう風に…」

突然、トイレのスリッパが無造作に置かれていたのです。