誰でも効くわけではない、副作用の指摘も・・・

エーザイが治験をした結果、レカネマブを投与したグループは有効成分の入っていない「偽薬」を投与したグループに比べ、投与から1年半経った時点で症状の悪化が27%抑えられたということです。平均で3年進行を遅らせる効果があるといいます。

北陸病院 吉田光宏院長:
「治験のデータをみると問題行動的なことも軽減されている。数字的には軽減されています。こういう薬が違う会社から出てくる予定もあるみたいです。アルツハイマー病の原因が、アミロイドβたんぱくが溜まるということが正しければ、根本治療薬になります。発症前にアミロイドβたんぱくが溜まっているのがわかれば、症状がない段階から治療介入できる。もしかしたら、より効果が期待できるかもしれません」

まさに期待の治療薬ですが、実はレカネマブは、誰にでも効くわけではありません。

対象の患者は「軽度認知症」と、認知症の前段階である「軽度認知障害」の人です。しかも使用にはアミロイドβたんぱくが脳に溜まっているかどうか検査する必要があり、その際、副作用が指摘されているのです。

北陸病院 吉田光宏院長:
「アミロイドβたんぱくに対する薬なので、それがないのに点滴しても意味がありません。(これまでの薬は)脳にアミロイドがあるかどうかチェックせずに症状だけで、あとは画像診断でやっていたんですけど、これは脳にアミロイドが溜まっていることが前提になっているので、そういう検査を受けなきゃいけないし、脳の血管にアミロイドβたんぱくが溜まっていると副作用が出やすい方もいるというので、なかなかハードルが少し高いかなという感じがします」

脳の血管にアミロイドβたんぱくが溜まっているとなぜ副作用が出やすいのでしょうか?

北陸病院 吉田光宏院長:
「(この治療薬は)アミロイドβたんぱくを取ってしまうということなので、脳の中にあるものはいいんですけど、アミロイドβたんぱくは血管にもくっついているんです。多かれ少なかれアルツハイマー病の人は血管にもアミロイドβたんぱくがくっついているから、それをはがしてしまうと血管がより弱くなってしまい、炎症を起こしたり出血したりしてしまうんです。そのチェックをする必要があります」