カギを握るのは「出来事の数」

私たちが年末の移動で感じる、行きと帰りの時間の長さの大きな違い。その鍵を握るのは「出来事の数」だと時間知覚の専門家は指摘します。

富山県立大学 岡崎聡講師
「1つ考えられるのは、その出来事・イベントがどれくらい起きたかによって、時間の長さが変わる。体感される時間の長さが変わるって言われている」

脳は実際に経過した時間ではなく、その間にどれだけ多くの情報を処理し、「出来事」として記憶したかによって、時間を長く、あるいは短く認識します。出来事の数が多いほど、時間が長く感じられるのです。

この原理が旅路における体感時間の錯覚を生み出します。

目的地へ向かう道中は初めて目にする景色や初めて通る高速道路のルート、初めて立ち寄るサービスエリアなど、新しい情報(出来事)が次々とインプットされます。

これらの「出来事の数」が多いため、脳が処理する情報量が増え、時間が長く感じられます。

富山県立大学 岡崎聡講師
「行きっていうのはいろんなものが目につきますよね。旅行とかでも初めて見るものが多くて、あれ見たこれ見たっていうふうに、見たこと自体がイベントになるんですけども、帰りはもう慣れちゃってるので、1つ1つ見ないといいますか、イベントとして認識されないので」

一方、帰路では一度経験した景色やルートであり、脳にとってはすでに“慣れて”いる情報ばかりです。

そのため、出来事として認識される数が激減し処理する情報が少ないため、時間が「あっという間に過ぎる」と感じるのです。