「別腹スイッチ」を入れる脳内物質

この“別腹”現象の鍵を握るのが、脳の「報酬系(ドーパミン系)」と、それを調整する「神経ペプチド」です。

ふくだ内科クリニック 福田正博院長
「チョコレートやラーメンなど“好物”を見た瞬間、『快感』『やる気』を感じるドーパミンが放出されます。このとき胃の働きにも指令が届き、『もう少し入るかも』という感覚を引き起こします」

さらに、この報酬系をブーストするのが、日本の研究者によって発見された「オレキシン」。

オレキシンは、覚醒・食欲・報酬の3つを統合的に調整する「モチベーションの司令塔」と呼ばれる脳内物質で食欲を刺激し、「食べたい」気持ちを強めるといいます。

また、「甘いもの」「脂っこいもの」など、報酬性の高い食物に対して特に強く反応するほか、見たり香りをかいだりするだけでも分泌されることがあります。

ふくだ内科クリニック 福田正博院長
「脳でオレキシンが分泌されると胃の動きが促され、食べたばかりの食事が腸に送り出されて、胃の上部に新しい“スペース”が生まれます。これが俗にいう『別腹』の正体です。そして脳の報酬系が『そのスペースを好物で埋めたい』と指令を出し、私たちはつい甘いものに手を伸ばしてしまうのです」