佐藤さんが生まれた菊田産婦人科医院。菊田昇医師は当時、出産が近づいてから中絶したいと駆け込む女性を説得し、生まれた赤ちゃんを周りに知られないよう子どもを望む夫婦に託していました。その際、菊田医師は子どもが「実子」となるよう偽の出生証明書を作成していました。

佐藤さんの戸籍謄本も「養女」ではなく「長女」と記載されています。このため、戸籍から生い立ちを辿ることができない状況となっています。「出自を知る権利が奪われているので、それが一番問題」と佐藤さんは話します。今は、血の繋がる親族に会いたいという思いが日に日に強まっています。

佐藤晃子さん:
「血のつながる人であれば誰でも会ってみたいです。母親が亡くなるときにも『なぜきょうだいがいないの』と聞いたくらいほしかった。今からでも会えるなら会ってみたい」

佐藤さんは、父方の親戚と顔が似ていると言われることが多く、本当に養子なのか確かめるため親族の協力のもとDNA鑑定を依頼し、現在、結果待ちの状況だということです。