今から100年以上前、海外に持ち出された、アイヌ民族の遺骨が2025年4月、北海道に戻りました。研究の名のもと、遺骨を持ち出したのは、イギリスの人類学者。その人物は、無償でアイヌの人たちに医療を施し、信頼されていた医師でした。

◆《研究目的で持ち出されたアイヌ民族の遺骨…》

遺骨が故郷に帰るのに、約110年の歳月がかかりました。

北海道アイヌ協会 大川勝理事長
「我々の同胞で先祖、やはり遺骨を日本に持ってきて、きちっと尊厳のある慰霊をしたい」

2025年4月、イギリスのエディンバラ大学から日本政府に、3体のアイヌ民族の遺骨が返還されました。エディンバラ大学によりますと、遺骨は北海道の釧路地域、浦河町、えりも町から持ち出され、1913年に大学に収蔵されたということです。

返還された遺骨は、慰霊の儀式のあと、白老町の慰霊施設に保管されました。

北海道の地に眠っていたアイヌの遺骨。イギリスに送ったのは、イギリス人の人類学者で医師の、ニール・ゴードン・マンロー氏でした。マンロー氏が遺骨を寄贈した理由について、エディンバラ大学は、おそらく研究目的だったとしています。

エディンバラ大学
「アイヌなどの民族集団から持ち出された遺骨は、解剖学や人類学の探究に用いられることが多く、頭蓋骨の形と大きさに基づいて、それらの民族が劣っていることを示すという、今では否定されている骨相学にも用いられた」