天候が悪くもなかったのに なぜ、回避できなかったのか
青木:事故の原因が少しずつわかってきている中で、鳥海さんが気になるポイントはどこでしょうか?

鳥海:今までも、この滑走路に誤進入したケースはありましたが、大抵の場合はパイロットないしは、管制官の方で気づいて、最終的に着陸しようとしている飛行機の着陸を止めて、ゴーアラウンド(Go-around)という形で再び上昇することによって、衝突を回避していたのが、今回はJAL機側、それから管制塔側、そして海上保安庁のパイロットも含めて、気づかなかったというところに事故のポイントがあって、誤進入したことも問題ですけど、それ以上に、今回は特に天候も悪くなくて、夜で暗かったっていうことはありますけど、そのような状況で起こったということを考えなければいけないと思います。
青木:外的要因として、事故の原因に直接つながったものは、あまり考えられないということでしょうか?
鳥海:外的な要因というか、やはり一番は海上保安庁の方が英語で管制塔と役割の更新をするのですが、その解釈を間違ってしまったっていうか、そこが一番大きいのかなと思います。
青木:解釈を間違ってしまったというのは、こういう業界の言葉というのは、何か一律で解釈が統一されているものではないんですか?
鳥海:統一されてまして、今回「No.1」という英語が出てきましたけど、これは「次に離陸する飛行機ですよ」という解釈で、世界中のパイロットがわかっていることなんですが、この「No.1」という用語を、どうしてかわからないですが、一番最初に離陸する飛行機=もう離陸許可が出たと勘違いをしてしまったという、普通は考えられないようなミスになるかなと思います。