「だいぶ妻に甘えてる」
(増田)
締め切りに追われることなく、ただただ、思いついたことや興味を持ったことを数珠つなぎに調べて、メモを残す時間というのは。普段の仕事ではあまり許されないので、すごく貴重だったし、楽しい時間だった。スマホのメモに「企画案」「引っ掛かった言葉」「ツンの新語造語」とか、いろんなタイトルのフォルダを作って忘れないように書き留めたりして。
(伊豆田)
私も仕事以外のことをしている時にふと浮かんだアイデアを、忘れないうちにスマホに書き留めているけど、そういえば、それは育休取得をきっかけに始めた行為だったと、いま気付いたよ。
子どもが生まれるまでは、休日でさえ、仕事に関係することばかり考えてた。というか、休日もけっこう仕事してたよね。ほぼ、自分のためだけに時間を使えたから。でも、出産後は、自分以外に費やす時間が圧倒的に増える。すると運転中や掃除中、料理中といった隙間時間にアイデアを巡らせたり、思考を深めたりするようになる。それを書き留めて、子どもが寝てる時間にスマホで調べて、さらにメモして。自由な時間が減る分、隙間時間を活用する習慣ができる、ということなのかも。良い変化だよね。
で、これまであまり家庭を顧みなかった増田の私生活は変わったの?
(増田)
育休を取ったおかげで、家の中でできることが少しは増えたよ。育休取得前もオムツの交換くらいはしてたけど、できることが本当に少なかったので。洗濯物をスペースを考えながら干すとか、スーパーでは買い得の商品を選ぶとか。ツンを連れて毎日市内を歩き回ったので、子ども連れのママたちの輪に入れるようにもなった。
…できることは大して増えてないね…。振り返るほど、だいぶ妻に甘えてるなと思い知らされる。
でも、午前2時や3時に起きて、生後2か月のタダチンを抱っこすることは、今も続けてる。睡眠時間が短くなるのはつらいけど、育児とはそういうものだと受け入れてる。
休日の過ごし方も変わったかな。「じゃあ、きょうは育休中のあのパターンで」と妻と阿吽の呼吸で、その日の家事育児の担当や子どもの遊び方を割り振りできる。何より「子どもと過ごす時間ってこんなに楽しいんだ」と発見したことが大きな収穫だった。
(つづく)
プロフィール
増田哲也:静岡県牧之原市生まれ。2005年静岡放送入社。社会部記者や編成、営業を経て、2022年から夕方ニュース番組「LIVEしずおか」編集長。2024年4月からバラエティーやドキュメンタリーを制作するディレクターに。アスリート、会社員を経て現在は専業主婦の妻、長男ツン(2)、次男タダチン(0)と4人暮らし。近所に頼れる親族はなく、長男の誕生以降、家事育児は妻が担ってきた。2024年4月の次男誕生をきっかけに約1か月半の育児休業を取得。
伊豆田有希:広島県福山市生まれ。静岡新聞などで18年間新聞記者。人事異動で2023年から静岡放送報道部の記者兼ディレクター。小学生の長男(11)、次男(8)、保育園児の長女(5)、メーカー勤務で遠距離通勤の夫と5人暮らし。2023年3月まで9年間、短時間勤務制度を利用した。次男と長女の誕生後はそれぞれ1か月ずつ、夫も休みを取得。現在は夫が週2日在宅勤務。2週に1回は家事代行業に頼りながら、夫婦2人で家事育児を分担している。