問題の原因が、日本からいったん帰国したり、母国で資格を取ったりした「特定技能」の外国人の来日が滞っていることです。

外国人が来日する際、東京出入国在留管理局が在留資格を審査します。
特定技能の外国人の申請から審査が終わるまでにかかる日数は、平均で60日から70日ほど。


ところが、伊藤さんは1月に申請したにも関わらず、今月に入っても審査が通りません。

■伊藤さん「夏に申請の許可が出ることも考えられるが、(レタス栽培は)期間限定の仕事なので、それじゃどうしようもない」

なぜ、このような状況になっているのでしょうか。

農家と「特定技能」の外国人とのマッチングなどを行う、登録支援機関の小林克規社長は。

■登録支援機関AIC 小林克規社長                     「半年ぐらい前から(特定技能が)極端な量で増えて『(審査の)対応しきれません』と」「1月(の申請)ですと、おそらく6月から7月の入村になるのでは」


背景にあるのが新型コロナの影響です。

感染拡大により海外からの入国が制限されたことで技能実習生が日本に入って来られず、様々な産業で深刻な人手不足に。

政府が国内にいる外国人の在留期限を特別に延長したほか、「技能実習」から「特定技能」への移行も進みました。

さらに、特定技能の外国人は、経験があり日本語が使えるというメリットから、農家からの受け入れの希望も増加。


こうした状況から、「特定技能」の資格を持つ外国人は、コロナ禍で増加した上、去年1年間で倍以上に急増しています。

このため、入管での審査が滞っているとみられます。


13日、登録支援機関の小林社長がインドネシアから招いた「特定技能」の7人が、川上村に入りました。


去年11月末に在留の申請を出し、入管での審査にかかった期間はおよそ110日と、平均の60から70日を大きく上回りました。

入管は、1日に50回以上電話をかけてようやく繋がる状態で、審査の催促を続けたといいます。


■小林社長「今問い合わせをかけると(審査まで)4か月(約120日)はみてくださいと言われる。もう少しスピーディーに審査をしていただくと一次産業を守れるのではないかと思う」

新型コロナの水際対策が緩和されたにも関わらず、再び発生した人手不足。


東京出入国在留管理局は、取材に対し、審査が滞っていることを認めた上で、「適切な人員配置を行うなどして審査期間の短縮に努めていく」などとしています。


人手不足に頭を悩ませる、川上村の野菜農家・伊藤さん。

栽培するレタスは大手ファストフードチェーンなどと契約していて、今年の生産を減らすことはできないと話します。


■伊藤さん「自分たちは何もできないですからね。ただ待っているだけで…毎日頭抱えています。悩んで、どうしようかなと」

高原野菜の産地を再び襲う人手不足の波。

人材確保の見通しが立たない中、栽培シーズンは本格化していきます。