実はこのプレミアムパインアップル、30年ほど前に突然できたもの。
その理由は、伊藤さん自身もわからないといいます。

「もう一本のほうは蜜の入りも悪くなったり病気が入ってしまったりクオリティが下がってきている、なんとかこの木が生きているうちに解明できてこれと同じリンゴを作ることができるようになったらすごくうれしい」

木のヒミツを解明しようと、専門家にみてもらうことにしました。
県農業農村支援センターの重藤奈央(しげふじ・なお)さん。
同僚と農地の土壌分析などを行い、学会で発表した経験もあるスペシャリストです。

「特に蜜が入る枝があれば、『枝変わり』という、同じ木なんだけど特異的に性質が違うものが出てくるパターンがある」

「枝変わり」は突然変異の一つで、果樹などの一部分だけがほかと違った性質になることを指します。

重藤さんは、木の特徴をさらに詳しく調べて、増やす方法を提案しました。

「たとえばテープを枝に貼っておいて印をつけておいてここから採れるのがそうだなっていうのがわかれば、(そしたらこの枝を切ってこれを接ぎ木していく)」

10年前と比べてリンゴ畑の面積がおよそ1割減っている長野県。
自慢の産業を支えていくためには、プレミアムパインアップルのような競争力のある商品は大きな強みになります。

「リンゴ産業自体が沈み気味なので、新しい品種が出てくると盛り上がっていけるんじゃないかなと期待している、来季はどこの枝にそういうリンゴができているのかを確認して印とかをつけてその木を高接ぎして次年度に向けて更新をしていきたい」


「奇跡のリンゴ」の解明はまだこれからですが、目指すはプレミアムパインアップルの品種登録!
偶然をチャンスに!伊藤さんの挑戦は続きます。