「遺体の確認に来てください」──成人式から4日後…突然奪われた日常

田原さんは、事故当日の記憶を語った。

「あの日の朝、警察署から電話を受けたのは妻だった。『遺体の確認に来てください』。ニュースでは軽井沢で事故があったというのは知っていましたが、まさか自分の息子がそのバスに乗っているとはとても思っていませんでした。まさに奈落の底に落とされるような気持ちでした」

大阪から軽井沢へ向かう道中のことは、ほとんど覚えていないという。頭の中は、息子と過ごした日々を思い起こすことでいっぱいだった。

ここで母親の由起子さんにマイクが渡された。由起子さんは、息子の寛さんの思い出を写真とともに振り返った。

「1996年3月14日に寛は生まれました。1歳ぐらいのときからお兄ちゃんの影響を受けて、ボールを蹴るのが大好きな子でした。幼稚園からサッカークラブに所属して、大学まで続けていましたので、サッカー歴は18年。読書も大好きでした」