人と人との関係ではなく、国籍や民族の違いが分断を生み出し、えん罪や虐殺までもたらす戦争。

髙川さんが戦時中の外国人に関心を寄せ、調査を続けてきた背景には、小学校時代、父の仕事で住んでいたフィリピンでの経験があるといいます。


髙川邦子さん:「フィリピンってアメリカと日本との戦争に巻き込まれて、大変な犠牲を払った国なんですけども。日本人って戦争中こういうことしたんだよねっていう話を同級生から言われたり、そういうところにクラスで社会科見学に行ったこともありましたし。ここで日本軍は捕虜をこういう風に殺したんだよっていうところをみんなで見に行ったり。その日1日クラスメイトが口を聞いてくれないとか、そういう経験もしたので。それで日本に帰ってきたら日本で語られる戦争というのがだいぶ違うということに。広島、長崎、空襲とか特攻隊とか、もちろんそういう歴史もすごく大事なんですけど。なぜこんなに違うんだろうって思った時に、やっぱり違う視点から考えてみるということが大事じゃないかなということに長い年月をかけて、そういう結論に自分の中では落ち着いてきました」


トム・ハールさん:「なぜそういう時代があったとか、なぜそういう風になったか(考えることは)必要だと思う。やっぱりこういうことを忘れるのは良くないと思う」


世界各地で「自国ファースト」が叫ばれ、その是非をめぐる分断も目立つようになった戦後80年。マイノリティのたどった歴史は、いまも多くの教訓を残しています。