マイナ保険証を巡る不安は医療機関にもあります。広島県保険医協会は今月、県内の1381の医療機関を対象にアンケートを実施し、これまでに192件の回答を得ました。

それによるとマイナ保険証の導入によって受付業務の負担が「増えた」という医療機関が83.9%に上っていて、「減った」の6.8%を大幅に上回っています。

広島県保険医協会 堂垣内あづさ 事務局長
「単純に番号を入力するとか、そういうことの事務負担の軽減はいくらかの医療機関の回答の中にありますけれども、やはりそれ以上に国の説明の不足であったりとか、高齢者の方が今、増えていますので、そういった方の説明にかかる事務負担」

山間部や島しょ部にある診療所を中心にこんな声が寄せられています。

医療機関アンケートの回答より
「患者への説明が長い人は5分くらいかかる。実用的ではない」
「通信環境が悪いとカードリーダーが使用できなくなり、手間」
「訪問診療がメインのため、そもそもオンライン資格確認が不可能」

堂垣内事務局長
「ドクターが1人とスタッフが1人、こういった中でやっているような診療所もたくさんあるわけなんですね。で、もうそこで、たくさんお金がかかるマイナンバーカードのシステムを構築して、高齢者の患者さんがたくさんいる中で混乱する対応をしていくっていうのは医療機関にとっては診療以外の負担が大きく増えたっていうことになります」

顔認証付きカードリーダーなどマイナ保険証のシステム導入については、国からの補助も受けられますが、一定の初期費用のほか、維持管理費も必要となります。梶川病院では初期費用がおよそ170万円かかったそうです。

松元課長
「今、不安視されているようなことは徐々に解消されていき、ただ、その一方で、おそらく新しい問題も発生しますが、それをこなしていくというふうな、そうした技術の革新というふうなことは今後、進めていく必要があるかとは思っております」

堂垣内事務局長
「後付けでいろんな対策を講じても結局、今、健康保険証を1人ひとりが持っているわけですから、それを継続して使用するという形が一番コストもかからないし、混乱を生まないで済むということだと思います」