
首脳が触れた被爆の実相―。その一方で…
被爆者 サーロー節子さん(91)
「わたしは(首脳が)広島まで来て、これだけしか書けないのかと思うと、胸がつぶれるような思いがしました」

サミットで首脳が発出した「広島ビジョン」については、核廃絶や核兵器禁止条約への言及がなかったことに落胆の声が聞かれました。
共同通信 太田昌克 編集委員
「気になったのは、サミットの前日に行われた日米首脳会談で、ここでアメリカが核を含む、あらゆる能力を使って日本の防衛を安保条約に基づいてコミットするのだ、約束するのだ、という言い方をしているんですが、この首脳会談が行われたのは、島外科上空の爆心地からわずか歩いて数百メートル、数分のところで首脳会談が開かれて、『核の傘』の堅持・強化で一致をしているんですね。はたして広島から出すメッセージとして適切だったのかどうか」
広島から出された『核の傘』堅持・強化のメッセージ。

共同通信 太田昌克 編集委員
「もう少しクリアな形で核廃絶を両首脳が目指していくのだと。そのうえで、抑止力は重要だけども、この核の傘というのは決して未来永劫、持続可能性のあるものではないんだと。危険があるんだと。もしも間違った場合、人間ですから間違うわけですね、核が使われてしまう恐れが十分ある。そこをやっぱり脱却していくんだというふうな方向性、議論の進め方。それをやはり広島から多くの被爆者のみなさん、日本国民のみなさん、聞きたかったんじゃないかと思うんですね。脱核抑止、そこへ向けて、これから努力していくんだというメッセージが出なかったことは、わたしは被爆地でやったサミットとしては不十分だったんじゃないか、非常に重要な宿題を残したまま、今回のサミットが終わってしまったというふうに思っています」