サンフレッチェ広島 元総監督 今西和男さん
― 森保選手をマツダにスカウトしたきっかけ
「(当時、)さまざまな場所に教えに行ったが、ほとんどが下を向いて話を聞いている。 ただ森保くんは、ずっと正面を向いて、こちらの顔を見ながら話を聞く」


「海外では当たり前だが、日本人で相手の顔を見ながら話を聞くのはすごいこと。 当時の恩師の下田先生に聞くと、『入学当時から真っすぐ顔を見て話す』と」


― 技術的には?
「『ぼくはあまり上手ではないので、常にパスをもらったらどうすればいいか』 『どこにボールを預ければいいか』と。当時はドリブルのうまい選手がもてはやされた時代。『ぼくはドリブルが得意ではない』。『すぐにパスを出すためにボールをもらう前からピッチを見ている』と」


― 試合中の “森保メモ” について
「(当時の監督の)オフトの提案だが、『ミスター今西、彼らは目を見れば真剣に話を聞いてくれている。でも聞くだけでいいのだろうか?』と疑問として投げかけてきた」


「『聞く』と同時に『考える』。そのことを『メモする』のは大切だと気づいて、サッカーノートを作りなさいと。毎日の練習の中で学んだこと、良かったこと、悪かったこと、できなかったこと、一言ずつ書く習慣をつけさせた。スポーツ選手は書くことはあまり好きじゃない。『書く』ということ。『書く』ために『考える』。同時に何を教わったか『聞く』。それができて、初めて『話す』ことができる」


― クロアチア戦について
「最終的には監督がいろいろ指示はするが、(森保監督は)うってつけというか、選手の話を『聞く』ことができる。今、考えれば、高校時代は一方的に言われるだけだったが、サンフレッチェに来て、『自分はどう思うか、発表しなさい』という中で育ったので、選手の話も『聞く』という今の指導者に必要な要素を率先してやってくれている」


「8チーム(ベスト8)には行くだろうなと。期待だけでなく、森保監督のやろうとしているサッカーをすればいけそうな気がする」