桐島容疑者が暮らし続けた町を宇賀神さんと歩いた。桐島容疑者の自宅を遠巻きに眺める宇賀神さんは、50年という年月の経過を感じるのだろうか。

宇賀神さん「うん、感じるかな。あのトタンのサビやなんかで。風に吹かれてなくなっちゃうんじゃないか。俺も逃げてたときタコ部屋みたいなところで働いていたけど、ここよりかはいくらかマシだったかな。(自分は)過ちというかやってはいけない戦い方をしてしまったということはある。それは分かってきた」

記者
「同じように桐島さんも感じていた?」

宇賀神さん
「当然そうだと思います。彼の付き合ってきた人たちの様子を見ると、私の思いとそれほどの違いはないという気がします。やっぱり彼の思いを知りたいですね。知りたかったですね」

桐島容疑者の逃走と死には、様々な立場からそれぞれの解釈がなされた。桐島容疑者が、自らの言葉で事件と逃亡生活を語らなかったためだ。法の下で、犯した罪を償うことなく、逃げ続けた桐島容疑者は沈黙を貫いたままこの世を去った。

かつて、言葉ではなく爆弾を選んだ男の部屋には、すがるように殴り書きされた言葉の数々が残されていた。