偶然起こった“コメの価格高騰”「異業種がコメ作ったけえ美味しくないと言われたくない」

そんな会社がことし、世羅町などの4カ所合わせて、4ヘクタールの田んぼでコメを作ります。

母体が福山市の運送会社「大成」です。貨物輸送や産業廃棄物の運搬を行う従業員60人ほどの会社です。農業への参入は、社長の大畠健志さんの強い思いからでした。

大畠健志社長(45)
「兼業農家で育ったのもありますし、実家の周りも(農業を)やられていない方が増えてきた。お年寄りの方の姿を見て、ボクらが立ち上がらんと、と」

去年、世羅町内に60アールの耕作放棄地を借り「ミライズフーズ」を設立。中川さんら3人を専従スタッフとして出向させ、野菜を作りました。

さらに、ここ山中福田地区の集落法人が後継者の不在で解散することになり、今年から田んぼを引き継ぎました。その法人の役員が、農業経験者の市尻さんでした。

市尻昌彦さん(61)
「集落として助かりました。これが保てるいうことは、すごく嬉しい」

実は、大畠社長にとって想定外だったのが「コメの価格高騰」でした。

大畠社長
「たまたま価格高騰(が起こった)。もちろんモチベーションの一つではあります。ありますけど、ボクらみたいな異業種がコメ作ったけえ味が美味しくないと言われたくないので、真摯に向き合う」

まずはコメ作りの力をつけたいという大畠社長。田植えには、2人の従業員とともに参加し、苗の積み込みなどに汗を流しました。

新入社員 田嶋さん(18)
「入ったばかりで、運送なのに農業じゃないですか!おもしろいなと思う」
手伝い 沖田さん(46)
「新入社員研修 フフ」

大畠健志社長
「農業をしていくことに対して、使命感というか、覚悟みたいなものを改めて噛みしめました。参入してよかったです。これはもう変わりません」

農業を盛り上げようと1歩を踏み出した「ミライズフーズ」。この日植えた「あきさかり」の苗は9月中頃、収穫し、地元の道の駅などで販売される予定です。