▼供述調書(1)Sさん 「誰かが突き飛ばしてくれなければトラックにはねられていた」
第一の事故を起こしたSさんは、玉置被告のトラックより以前にも、複数の車両が事故現場を走り抜けていたことを供述しています。「他の車両は減速して登坂車線の方によけていたのに、このトラックだけがスピードを落とすことなく向かってきた。私はトラックが迫ってきたので危ないと思ったのですが、恐怖で体が硬直してしまい、身動きがとれなくなっていました」
Sさんの命を救ったのは、死亡した男性Aさんだった
「付近にいた誰かが『あぶない!』と言ったと思うのですが、誰が言ったのかもよく分かりませんでした。自分の近くにいた人だと思いますが、誰かが私を道路中央側に突き飛ばしてくれたので私は道路中央側に倒れてしまいました。この誰かが突き飛ばしてくれなければ、このトラックに私もはねられていたと思います」

▼供述調書(2)Nさん 偶然通りがかった現場 救助活動に向かう
検察側はNさんの供述調書も証拠として提出しました。第1・第2の事故から救助作業をする必要があると考え、110番の会話を続けながら救助活動をしていたところ「現場がパッと明るくなり、だれかが大きな声で『危ない!』と叫んだ」ことなどが語られていました。
Nさんは「大きな壁が迫ってくるようで、私もとっさに『危ない逃げて』と言いながら走行車線に跳んで逃げた」と事故を振り返っています。
検察官は「トラックが突っ込んだあと、現場で女性Aさんを探していた」というNさんの供述調書を読み終えると声を詰まらせ、目元をハンカチで拭いました。
検察側、傍聴席のあちこちからすすり泣きが聞こえ、続けて女性Aさんの母親の供述調書が読み上げられました。
▼供述調書(3)女性Aさんの母 「土下座する社長の傍で被告は立ち尽くしていた」
「優しくよく気がつき、分け隔てがない子」だったという女性Aさん。事故当日、交際中のNさんと旅行に出かけた女性Aさんを送り出した後、母親は警察から事故を知らされました。事故後、被告は勤務先の社長と女性Aさんの自宅を訪れています。しかし、土下座する社長の傍で、被告は謝罪をすることもなく立ち尽くしていたといいます。その後1年に渡って何の連絡もなかったことなどから、被告に対する遺族の不信感は募っていきました。
▼証人尋問 被告が勤務する運送会社社長
弁護側、検察側の双方から損害賠償などについて問われた社長は「会社が入っている保険を使って賠償する予定」だと答えました。社長は被告に被害者遺族へ手紙を書くことをすすめたものの、「被告から積極的な提案はなかった」と語りました。
一方で、「働いて反省を見定めよう」と倉庫内作業員として雇い続けていることを明らかにしています。
