■実際の犠牲者は少なくとも150人以上多いか
岩佐さんは、各地の郷土資料に書かれている内容を確認したり、遺族への聞き取りをしたりして、あらためて枕崎台風の犠牲者の被災状況を確認していきました。
すると県がまとめた災害史と大きく異なることに疑問を持つようになりました。

岩佐 佳哉 さん
「ある市町村で調査をしたときに県の資料に書かれている死者数と市町村史に書かれている死者数が一致しないことに気がついた」
現在、公式の発表で使われている枕崎台風による広島県内の犠牲者は2012人とされています。25年前に県がまとめた災害史に載っている数字です。

ただ岩佐さんが県内各地の市町村史には、犠牲者がゼロとされる市町でも枕崎台風による犠牲者が出た記述があるケースが複数確認できました。
岩佐 佳哉 さん
「たとえば、これは旧安芸津町の町史。枕崎台風で降雨が続き、裏山で土石流が発生して、家が倒壊して、一家4人が亡くなったと書かれている」

調査の結果、県内の枕崎台風の犠牲者はこれまでの2012人から150人以上多い、2169人だったことが明らかになったといいます。
