高濃度検出地域での住民の不安 …対応策は?
横田基地から直線距離でおよそ10キロ。東京都国分寺市で暮らす藤木千草さんも水道水の安全性に不安を抱えています。

藤木千草さん
「これが安全じゃなかったというのも、飲み続けちゃっているので、ショック」
藤木さんが住む多摩地域でも、井戸水から国の指針値を超えるPFASが検出されました。

そこで、東京の市民団体は、2022年から、地域住民の血液検査を実施。
検査を行った650人のうち、藤木さんを含む半数以上がアメリカ科学・工学・医学アカデミーが定めた基準で「健康リスク高まる」とされる量のPFASが検出されました。
藤木千草さん
「発がん性があるとか、コレステロール値が高くなるとか色々ありますよね。若い世代の影響って何年か経ってから色々出るんだと思うので、その辺が心配です」
体内に、どれくらいのPFASが残っているかを調べる血液検査は、汚染が判明した6都府県で市民団体が実施しています。
しかし行政が取り組んだ例はまだなく、東広島市でも希望者に健康診断は実施するものの、血中濃度の測定は予定していないといいます。

東広島市 高垣広徳市長
「血液中にどれくらい残留があるか、それが健康に対してどういう因果関係を持つかというのは、医学的に今、エビデンスがないそうです。その意味からすると、血液検査をして高かった時に、ある意味、不安を煽るだけではないかというようなご意見も聞いています」
この考えに、専門家は異を唱えます。

京都大学大学院 原田浩二准教授
「エビデンスがないというのはこれは間違っています。残念ながら日本においてはそういった目安となる数値というのはまだ設定はされてはいないんですが、ドイツの環境庁、米国の科学・工学・医学アカデミー等では、血液中の濃度、これが目安より高いとですね、将来的な健康上のリスクが上昇するということを認めております。その上で、血液中の濃度に応じた特定の検査を行って、将来の病気をなるべく起こらないように、もしくは早期に治療できるようにというですね、勧告・ガイダンスを出しております。一方で、血液中の濃度がそれほど高くないとわかれば、むしろそういった情報を個人が知ることによって、むしろ不安を解消するということもありうるんではないかと」