平行線たどる国と県の主張 「争点」は
裁判で特にポイントとなるのが要件3の「放置すると著しく公益を害することが明らか」に関わる部分です。
「公益」について、国は安全保障と“普天間基地の危険性除去”をあげていて、知事が設計変更を承認しなければ「著しく公益を害することは明らか」と訴えています。

これに対し県は、国の主張する「公益」について「抽象的」だと指摘しています。
仮に知事が承認しても、工事は2030年代後半にずれ込み「長期化する可能性が高い」とした上で、「(辺野古)完成までの間、普天間基地を固定化するのだから、国が主張する“危険性の除去”という“公益”の侵害は極めて抽象的」と訴えています。

代執行は本来、「国と対等」とされた地方自治を奪う異例の措置のため、3つの厳しい要件に基づいた「最後の手段」で、厳しく審理される必要があるとされています。
玉城知事の法廷での訴えは
玉城知事の陳述のポイントは次の通りです。

【国と県の対話の必要性】
【国がいう「公益」の前提となる「辺野古が唯一」の考えは必要性と合理性を欠く】
【民意こそが「公益」として認められなければならない】
この3点について、知事は証言台で、時折、裁判官の目を見ながら訴え、本土の基地負担を軽減するために、沖縄への基地集中が進められた歴史や、基地被害にさらされてきたことに触れ、「国が唱える危険性の除去や基地負担の軽減は説得力はありません」と述べました。
そして「そうした国の姿勢を見てきたからこそ県民は移設に反対しており、その民意こそが公益とされるべきだ。代執行という国家権力で県民の期待と願いを踏みにじることを容認せず、国と県の対話によって解決の道を探ることこそが最善の方法であると示してほしい」と締めくくりました。
裁判を終えて、県と国の反応です。
玉城知事
「即日結審とはなりましたけれども、判決の期日が言い渡されなかったということについては、裁判所もしっかりと内容について精査しようということのお考えではないかというように受け止めております」
松野官房長官
「引き続き関係省庁において適切に対応されるものと認識しています」「政府としては、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき、着実に工事を進めていくことが普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものと考えています」
審理はこの日で終わり、国が求めていた「即日結審」となりました。
次回は判決言い渡しとなっていて、仮に県の訴えが認められて勝訴した場合は、代執行を止めることになります。
一方、知事に承認を命じる判決が出れば、県が応じない場合でも、国交省が代わりに承認し、国は大浦湾側の埋め立て工事を進めることになります。
この場合、県は上告できますが、上告中に行われる工事を止めることはできません。

国はことし12月末にも大浦湾側で工事を行う構えです。
今後の地方自治のあり方そのものを問う今回の裁判。司法の判断に注目が集まります。