普天間基地の辺野古移設をめぐり、国が県に代わって工事の設計変更を承認する「代執行」に向けた裁判の第一回口頭弁論が30日に開かれました。
そもそも代執行訴訟とはどのような裁判なのでしょうか。
国が目指す“代執行”とは
まず、県知事が埋め立て事業に「承認」を与える行為は、「公有水面埋立法」に定められた知事の権限ですが、これは国から都道府県に権限が移されたもので、「法定受託事務」と呼ばれるものです。

地方自治法に基づき、この「法定受託事務」を都道府県知事が行わない場合、所管の大臣が是正を勧告・指示し、それでも従わなければ、国が都道府県を訴えることができます。それが「代執行」制度です。
地方自治法では、国が代執行をする時の要件が3つあります。
①都道府県の事務が法令などに違反している
②代執行以外の方法では是正が困難
③放置すると著しく公益を害することが明らか

この3要件をめぐって、国と県の主張が異なり、裁判の争点となっています。
「公益」めぐりぶつかる国と県の主張は
まずは国の主張を見ていきます。
▼設計変更申請を知事が承認しないのは違法
▼ほかの方法で「是正を図ることは困難」
▼普天間基地の固定化を回避するという重要な課題に関わり、このまま放置することで外交・防衛上の不利益が生じ「公益を害する」
国はこのように主張していて、裁判所に対し、可及的速やかに国の訴えを認める判決を求めています。

一方県は
▼先月4日の最高裁判決では国が軟弱地盤の工事の承認を迫った「勧告・指示」は適法との判断だったものの、そもそも玉城知事が軟弱地盤の工事を承認しないことが公有水面埋立法に違反するとは指摘されていない
▼国は県がこれまで求めてきた対話に一切応じておらず、ほかの方法で「是正を図ることが困難」とは言えない
▼国が主張する公益侵害は極めて抽象的。移設反対の民意こそ公益として考慮されるべき
このように主張して、裁判所に対し、国の訴えを棄却し、県との対話による問題解決の道を探るのが最善の方法だと示すよう求めています。